小児がんや重い病気の子どもたちを心のケアで支援する認定NPO法人シャイン・オン・キッズ(東京都中央区、理事長:キンバリ・フォーサイス)は、2023年4月1日より、医療法人社団千秋双葉会 いなげ未来クリニック(千葉市稲毛区、以下、いなげ未来クリニック)へのビーズ・オブ・カレッジ・プログラムの導入を決定しました。
ビーズ・オブ・カレッジは、病気とたたかう子どもたちへの心のケアを目的としたアート介在療法です。この度、千葉市稲毛区の小児科クリニック、いなげ未来クリニックへのビーズ・オブ・カレッジ導入が決定しました。これにより、プログラムを実施する全国の医療関連施設は27箇所となります。
いなげ未来クリニックは千葉市の指定小児慢性特定疾病医療機関で、小児の一般診療のほか、アレルギー、発達・心理相談など、幅広く診療を行う小児総合クリニックです。入院治療を行わない医療関連施設でのビーズ・オブ・カレッジは、チャイルド・ケモ・ハウス(神戸市)での実績がありますが、小児がんの長期フォローアップに特化した導入は、いなげ未来クリニックが初めてとなります。院長の寺田和樹医師は長年小児がんの専門医として第一線で活躍する傍ら、小児がん患者の長期フォローアップの重要性を提唱してきました。小児がん診療では、がんの治癒を目的とした治療の後も、定期的な検査や心身の不調に対応するため、通院を継続することが重要です。しかし、さまざまな理由から通院が途絶えてしまうことも少なくありません。そこでいなげ未来クリニックでは、独自に小児がん長期フォローアップ外来を開始。ビーズ・オブ・カレッジ プログラムの活用や、千葉県全域及び東京都から通院しやすい環境を整えるなど、広く患者の受け入れを目指します。
長期フォローアップ外来でビーズ・オブ・カレッジを活用長期フォローアップ外来には、ビーズ大使*である、長期フォローアップ研修を修了した看護師、公認心理師が在籍します。治療を受けた病院でビーズ・オブ・カレッジに参加した子どもたちが、継続してビーズを繋ぐことができます。またプログラム未経験の子どもには、対面やオンラインでのふりかえりビーズ**の実施も予定しています。ビーズ・オブ・カレッジを通して、治療後の日常生活での頑張りを労いながら心理社会的な困難を抽出し、子どもにとって相談できる場所を維持する効果や、長期フォローアップ外来受診の重要性を理解してもらう効果が期待されます。長期フォローアップに特化した導入により、プログラムの新しい活用の場が広がるほか、ビーズ・オブ・カレッジを導入していない病院で治療を受け、プログラム参加が叶わなかった子どもたちの受け入れを増やすことが可能になります。
寺田和樹院長からコメントを頂戴いたしました。小児がんは治癒が見込まれる時代になったものの、入院生活の影響や抗がん剤の影響により退院後にも復学、就職、恋愛、通院など心理社会的な問題が生じやすいとされています。これまで成田赤十字病院で入院中の患者さんにビーズ・オブ・カレッジを行い、患児だけでなく、乳幼児を含めたご両親に対する心のケアとしての効果に驚いておりました。思春期のお子さんへのビーズ導入はなかなか難しく、成田赤十字病院での導入当初は乳幼児のお子さんを中心に行っておりましたが、治療終了時に治療の証としてビーズを一緒につないだ際、自身の治療を振り返り想いを抽出、共有することの重要性を患者さんに教えていただきました。それ以降、治療開始時から導入できなかったお子さんには治療終了時に行う「ふりかえりビーズ」を実施するようになりました。また、シャイン・オン!キッズのイベントでも、これまでビーズ・オブ・カレッジを行ったことがない治療終了後の小児がん経験者に対して「ふりかえりビーズ」を行い、改めてその効果に驚きました。今回小児がんの治療が終了した患者さんを対象としたクリニックを開院するにあたり、クリニックでもビーズが出来ないか、入院中だけでなく退院後のビーズもつなげてあげたい、入院中にビーズが出来なかった子どもたちにもビーズをつなげてあげたいと思い、シャイン・オン!キッズさんに導入をお願いしました。クリニックでは、これまでビーズ・オブ・カレッジを行った方の継続ビーズ、そして今までビーズ・オブ・カレッジを実施することができなかった小児がん経験者の方の「ふりかえりビーズ」も実施いたします。最後に、ビーズ・オブ・カレッジの運営及び導入に必要な支援をくださった皆様に感謝申し上げます。
医療法人社団千秋双葉会 いなげ未来クリニック院長 寺田和樹
*ビーズ大使子どもと一緒にビーズを繋ぐ医療スタッフ。ビーズ大使となるためには、シャイン・オン!キッズが実施する研修を受けていただきます。2009年の国内初導入以来、看護師、心理士、保育士、医師など、様々な医療職の1000名以上が誕生しています。**ふりかえりビーズ入院中に参加できなかったり、退院後にプログラムが途絶えてしまった小児がんなどの闘病経験者を対象に、オンラインや、イベント等でビーズを繋ぐプログラム。過去の記憶を思い出しながら「ふりかえりビーズノート」に記入し、ビーズを繋ぐことで自分の頑張りを実感したり、自信に変えることができます。
◆ビーズ・オブ・カレッジとは小児がんなど重い病気とたたかう子どもたちへの心のケアを目的とした「アート介在療法」です。アメリカで開発されたプログラムで、シャイン・オン!キッズは日本で展開できる唯一の組織として認証を受けています。子どもたちは治療の過程を色とりどりのガラスビーズで記録していきます。例えば、輸血したときは赤いビーズ、髪が抜け始めたときは顔のビーズなど、処置や治療ごとに決められたビーズを、ビーズ大使である医療スタッフと会話をしながら子どもが自ら繋いでいきます。ビーズを繋ぐことを通して、自分が乗り越えてきた治療を振り返り、勇気や希望を実感し、自分の人生に自信を持ち、自己肯定感を高めます。自分に起きていることを可視化することで、客観的にとらえ周囲の人にも説明ができるようになります。
◆ビーズ・オブ・カレッジ実施施設 *2023年4月現在札幌医科大学附属病院、茨城県立こども病院、筑波大学附属病院 小児総合医療センター、埼玉県立小児医療センター、千葉大学医学部附属病院、いなげ未来クリニック、成田赤十字病院、慶應義塾大学病院、国立がん研究センター中央病院、東京医科歯科大学病院、東京慈恵会医科大学附属病院、東京都立小児総合医療センター、横浜市立大学附属病院、静岡県立こども病院、中京病院、大阪市立総合医療センター、大阪赤十字病院、公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院、神戸大学医学部附属病院、チャイルド・ケモ・ハウス、兵庫県立こども病院、島根大学医学部附属病院、高知医療センター、九州がんセンター、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(その他、2病院で試験的に導入中)
◆シャイン・オン!キッズとは小児がんや重い病気の子どもたちとそのご家族を心のケアのプログラムで支援。ファシリティドッグ・プログラム(動物介在療法)、ビーズ・オブ・カレッジ プログラム(アート介在療法)、キャンプカレッジ(小児がん経験者のコミュニティ運営)、シャイン・オン!コネクションズ(オンラインで心のケアや学習支援アクティビティを提供)、シャイン・オン!フレンズ(小児がん経験者のWEBコミュニティ)などを運営。2006年設立、2023年4月現在全国28病院にて活動中。(
https://ja.sokids.org/)【関連リンク】いなげ未来クリニック
https://www.inagemiraiclinic.com/