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最終更新時刻:17時11分

爆薬装填装置「T-クイックショット」を無線電子雷管対応型に機能拡張

2024/10/07  株式会社 アクティオ 

-爆薬供給から装薬孔への装填まで完全機械化し、装薬時の切羽近接作業をゼロに-

 総合建設機械レンタルの株式会社アクティオ(本社:東京都中央区日本橋、代表取締役社長兼COO:小沼直人、以下アクティオ)は、「生産プロセスのDX」の一環として、大成建設株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:相川善郎、以下大成建設)と2023年に共同開発した発破掘削の装薬作業を高速化する爆薬装填装置「T-クイックショット」(※1)に、日油株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:沢村孝司、以下日油)の協力を得て改良を加え、無線電子雷管(※2)対応型に機能拡張しました。本装置を使用することで、爆薬の供給から装薬孔への装填まで完全機械化が実現し、これまで切羽近傍で人力により行っていた爆薬の結線などの近接作業が不要となるため、装薬作業の安全性と生産性の大幅な向上を図ることができます。  なお、アクティオは、本装置の設計・製作、および、実証実験を行いました。


 山岳トンネル工事の発破掘削では、装薬孔の削孔、爆薬装填・発破、掘削・ズリ搬出、支保工建込、吹付け、ロックボルト打設といった一連の作業が切羽近傍で繰り返し行われます。トンネルの掘削面である切羽近傍では、土砂や岩が剥がれ落ちる“肌落ち”の発生が懸念され、安全の確保と同時に迅速に効率よく作業できる仕組みの構築が重要となっています。アクティオと大成建設はこれまで、支保工建込み工法(※3)など、切羽近傍に作業員が立ち入ることなく、安全かつ効率的な掘削作業を可能とする技術開発を進めてきました。しかし、装薬作業は現状、取り扱う火薬類が有線式のため、爆薬装填後に作業員が切羽に近づき長時間にわたり個々に結線する作業が必要となっていました。このため、安全性や生産性の面から結線作業が不要で切羽から離れた位置より機械的に爆薬を装填できる技術の実用化が望まれていました。

 そこでアクティオは、爆薬を機械的に装填する装置として大成建設と共同開発した「T-クイックショット」に、この度、日油の無線電子雷管ウィンデット(R)(※4)IIシステムを搭載することで、親ダイ(※5)・増ダイ(※6)の装填時に結線作業を行うことなく、両方を同時に遠隔操作で切羽から離れて爆薬を装填する装置を国内で初めて開発しました。本装置は山岳トンネル工事における装薬作業の安全性と生産性の向上に大きく貢献するものであり、国の提唱するi-Construction2.0(※7)の主旨にも当てはまるものです。

機能拡張した本装置の特長は以下のとおりです。

(1)切羽から1.5m離れた位置より親ダイ・増ダイを安全かつ密実に装填
爆薬の装填は、切羽から1.5m程度離れた位置より装填パイプ(長さ1.5m~2.0m)を装薬孔に差し込み、潤滑水を含んだ圧縮空気を用いて装薬装置本体から親ダイ・増ダイを圧送する手順で行います。こうすることで空隙の少ない密な装填が可能となり、増ダイ後方に込め物(※8)を詰める従来の作業が不要となります。また、密な装填により爆薬のエネルギーが岩盤に確実に伝達され、効果的な発破を実現できます。(図1、写真1参照)

(2)無線電子雷管を搭載した親ダイを増ダイと機械的に同時供給
従来のT-クイックショットによる増ダイ供給に加え、親ダイを格納・供給するホッパーを追加し、親ダイと増ダイを機械的に同時供給することができます。親ダイに搭載する無線電子雷管は事前に充電および通信設定が必要ですが、本装置の供給ラインの中途に無線給電装置を設けることで、供給から充電、通信まで連続的に行うことが可能です。(写真2参照)

(3)リモコンとタブレットPCの連携による簡単操作で素早く装填
従来のT-クイックショットの操作リモコンと、無線電子雷管の通信に必要なタブレットPCを連携することで、作業員が簡単に操作できるようにしました。操作ステップが少ないことから、一度の装薬作業にかかる時間は充電時間を含めて約1分で完了することができます。(写真3参照)

(4)装薬状況に応じて装填モードを選択可能
親ダイと増ダイを装填する「親ダイモード」では、親ダイ1本に対して増ダイの数を最大4本まで同時装薬することが可能です。また、親ダイモードのほか、硬質地山や長孔発破への適応を考慮し、増ダイのみを追加装填できる「増ダイモード」を搭載しており、一度に最大3本まで装填することが可能です。(写真4参照)

(5)トラックに本装置を積載し、狭い坑内でも容易に移動可能
標準仕様ではトラック1台に本装置を2台と空気圧縮機、ホースリールを積載します。本装置1台当たり、親ダイ78本(無線電子雷管+紙巻含水爆薬Φ25mm×100g)と増ダイ300本(紙巻含水爆薬Φ30mm×200g)を格納でき、トラック1台で一般的なトンネル断面での使用爆薬量に対応することが可能です。(写真5、6参照)

(6)装置稼働状況を見える化し、異常発生時には警報装置が作動し稼働を停止
圧縮空気の圧力や潤滑水の供給状況、水温等を常時モニタリングしており、制御用モニターにより本装置の稼働状況を可視化しています。異常発生時には回転灯や音声連動した警報装置が作動し、本装置の稼働が停止するとともに、異常状態が完全に取り除かれるまで再起動できない仕様とするなど、多重の安全機能を備えています。(図2参照)

 今後、アクティオと大成建設は、山岳トンネル工事のさらなる安全性・生産性の向上を目指し、装薬作業の最終目標である自動化技術の開発にも引き続き取り組んでまいります。







※1 爆薬装填装置「T-クイックショット」:発破掘削の装薬作業を高速化する爆薬装填装置「T-クイックショット」を開発 | 大成建設株式会社 (https://www.taisei.co.jp) | 株式会社アクティオ (https://www.aktio.co.jp
※2  無線電子雷管:本装置で使用する無線電子雷管は、確実な社会実装を目的として、内閣府の進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期スマートインフラマネジメントシステムの構築にて開発を進めており、大成建設と日油はこのプロジェクトに参加している。本プログラムでは、同システムのサブ課題Aの革新的な建設生産プロセスの構築において、トンネル発破等の危険作業の自動化・無人化に係る研究開発を進めている。
※3 支保工建込み工法:トンネル鋼製支保工の建込み工法「T-支保工クイックセッター」を開発 | 大成建設株式会社 (https://www.taisei.co.jp) | 株式会社アクティオ (https://www.aktio.co.jp
※4 ウィンデットは日油(株)の登録商標です。
※5 親ダイ:爆薬に雷管を取付けた薬包(本装置ではΦ25mm×100g の紙巻含水爆薬と無線電子雷管を使用)
※6 増ダイ:親ダイ以外の爆薬(本装置ではΦ30mm×200g の紙巻含水爆薬を使用)
※7 i-Construction2.0:2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍向上することを目指し、「施工のオートメーション化」、「データ連携のオートメーション化」、「施工管理のオートメーション化」を3本の柱として、建設現場で働く一人ひとりが生み出す価値を向上し、少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生産性の高い建設現場の実現を目指した、建設現場のオートメーション化に向けた取り組み
報道発表資料:「i-Construction 2.0」を策定しました<br>~建設現場のオートメーション化による生産性向上(省人化)~ - 国土交通省 (https://www.mlit.go.jp)
※8 込め物:増ダイに続いて装填する砂や粘土

■本商品に関するお問い合わせ先
株式会社アクティオ エンジニアリング事業部 土木部
TEL:03-6666-2476

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