B2BCH_ONE
B2BCH_TWO
最終更新時刻:17時11分

株式会社トーシン様と北海道で初となる「ポジティブインパクトファイナンス」(私募債)の契約を締結しました

2024/08/30  株式会社 北洋銀行 

2024 年8月30日
株式会社北洋銀行

株式会社トーシン様と北海道で初となる
「ポジティブインパクトファイナンス」(私募債)の契約を締結しました


北洋銀行(取締役頭取 津山 博恒)は、株式会社トーシン様(北海道帯広市、代表取締役:宮本 達也様)と、私募債による「ポジティブインパクトファイナンス」(以下、本ファイナンス)の契約を締結しました。発行日は2024年8月30日、銘柄名は株式会社トーシン第7回無担保社債(株式会社北洋銀行保証付および適格機関投資家限定)、金額5 億円、年限5年、受託(財務代理人就任)・引受についても北洋銀行が行います。私募債による本ファイナンスの組成は北海道で初となります。

本ファイナンスは、企業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクトを包括的に分析・評価し、ネガティブインパクトの緩和とポジティブインパクトの拡大について目標を設定し、その実現に向けた継続的な対話や支援を重視することでSDGs達成に貢献していく金融手法です。当行は、国連環境計画金融イニシアチブが提唱するポジティブインパクト金融原則に基づき、「ポジティブインパクトファイナンス評価書」を発行し、株式会社格付投資情報センター様から第三者評価として「セカンドオピニオン」を取得しています。

本件では、コア・インパクトを「ステークホルダーとの価値共創による地域活性化への貢献」と特定し、若手クリエイターやご当地企業とのコラボレーション商品企画など、ステークホルダーとの価値共創による地域活性化への貢献を通じて地域社会に好影響を与えている点などを評価させていただいています。

当行は、今後もほくようサステナブルファイナンス等を通じて環境・社会課題の解決を図るお客さまやプロジェクトを積極的に支援し、脱炭素社会の実現やSDGsの達成に貢献してまいります。

※「ポジティブインパクトファイナンス評価書」および「セカンドオピニオン」は別紙をご参照ください。



【株式会社トーシン様の概要】
所 在 地 北海道帯広市西6条南40丁目3番3号
代 表 者 宮本 達也様
設立 1975年5月
業種 カプセルトイ専門店「#C-pla」(シープラ)の運営 他

【契約記念の様子】
右:株式会社トーシン
代表取締役 宮本 達也 様

左:北洋銀行
帯広中央支店長 佐藤 光輔

以 上

北洋銀行グループは、2018 年 12 月「北洋 SDGs 宣言」 を表明し、地域の持続的成長支援と社会的課題の解決に取り組んでおります。なお、SDGs に関連するプレスリリースには、該当するSDGsのアイコンを明示しております。

【SDGs】2015年の国連サミットで採択された、持続可能な世界を実現するための2030年までの国際目標。17のゴールと169のターゲットで構成される。

北洋銀行グループ経営理念:お客さま本位を徹底し、多様な課題の解決に取り組み、北海道の明日あすをきりひらく













































発行日:2024年8月30日




株式会社トーシン

ポジティブインパクトファイナンス評価書
ポジティブインパクトファイナンス評価書

1/26










































北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズは、株式会社トーシン(以下、「トーシン」)に対してポジ
ティブインパクトファイナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼす
インパクト(ポジティブインパクト/ネガティブインパクト)を分析・評価した。
この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)が提唱したPIF原則およびPIF実施ガイド
(モデル・フレームワーク)、ESG金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまと
めた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、北洋銀行が独自に開発した評価体系に基づいてい
る。
ポジティブインパクトファイナンス評価書

2/26
目次
1.企業概要 .................................................................................................................................. 3
(1)企業概要 ........................................................................................................................ 3
(2)企業理念・行動指針 ........................................................................................................ 4
(3)事業内容 ........................................................................................................................ 5
(4)サステナビリティに関する方針と活動 ..................................................................................... 9
2.インパクトの特定 ..................................................................................................................... 14
(1)バリューチェーン分析 ........................................................................................................ 14
(2)インパクトレーダーによるマッピング ....................................................................................... 14
(3)インパクトニーズの確認 .................................................................................................... 17
(4)当行が認識する社会課題との整合性 ............................................................................... 22
3.インパクトの評価 ..................................................................................................................... 23
4.インパクトのモニタリング ........................................................................................................... 25
5.情報開示 ............................................................................................................................. 25











ポジティブインパクトファイナンス評価書

3/26
1. 企業概要
(1) 企業概要
企業名 株式会社トーシン
代表者名 代表取締役社長 宮本 達也
本社所在地 北海道帯広市西6条南40丁目3番3号
事業拠点 • 札幌支店:札幌市東区東苗穂13条3丁目1番10号
• 渋谷事務所:東京都渋谷区神南1丁目18−2フレーム神南坂 地下1階
創業/設立 1974年 / 1975年5月
従業員数 962名(2024年7月現在)
売上高 116億円(2024年5月期)
資本金 4,000万円
事業内容
• カプセルトイ専門店の運営
• カプセルトイベンディングマシンレンタルによるカプセルトイの販売
• カード自動販売機によるトレーディングカードの販売
• アミューズメントマシンレンタル及び販売
• プリ機(写真シール機)レンタル
• アミューズメントコーナー運営 等
沿革
1974年
1975年
1978年

1987年
1991年

1993年

2013年
2018年

2019年

2023年
個人創業。アメリカ製ポップコーン自動販売機を販売
有限会社東信商事として法人成り(資本金100万円)
バンダイ初のカプセルトイ自動販売機「BVM100型」を帯広市内に設
置し、カプセルトイ事業を開始
札幌営業所を開設。資本金を1,000万円に増資
株式会社トーシンに組織および社名を変更
札幌営業所を札幌支店に昇格。資本金を2,000万円に増資
直営ゲームセンター事業を開始。1号店ゲームワールドMEGAを音更
町に出店
ソーラー発電による発電事業を開始
カプセルトイ専門店事業に参入。第一号実験店舗 ♯C-pla4丁目プラ
ザ店を出店
初の店舗型カプセルトイ専門店 #C-plaイオンモール札幌発寒店を出
店。現社長の宮本達也氏が代表取締役就任
#C-pla 100店舗目の出店を達成

■ トーシンのカプセルトイ専門店「#C-pla」

出所:トーシン提供資料
ポジティブインパクトファイナンス評価書
(2) 企業理念・行動指針
トーシンでは以下の企業理念・行動指針を定めている。カプセルトイを中心としたアミュー
ズメント事業を展開する当社は、人々を楽しませ感動を共有することのできるアミューズメン
トには、その感動と体験によって「地域社会」や「施設」を活性化させる力があると考えてい
る。地域に密着したテーマ設定で地域の人々に愛される場所作りにこだわり、そこに訪れる人々
がその地域を好きになる取り組みを通じて、「顧客」と「地域社会」と「会社(トーシン)」 の
三方よしを実現していくことが、当社の企業理念と行動指針に込められた想いである。
企業理念
アミューズメントの力で地域ににぎわいを 地域に活力を
行動指針
WIN(顧客)WIN(会社)WIN(地域社会)
出所:トーシン提供資料
4/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
(3) 事業内容
トーシンは北海道帯広市に本社を置く、カプセルトイ(ガチャガチャ)を中心としたアミュー
ズメント事業を展開する会社である。当社のビジネスは、カプセルトイを中心としたアミューズ
メントコーナーの企画・運営・管理によって販売店(ショッピングセンター等)の収益化をサポ
ートする「空き空間の収益化・集客支援事業」と、カプセルトイ専門店の直営を行う「店舗運営
事業」2つに分けられる。
① 空き空間の収益化・集客支援事業
トーシンのカプセルトイビジネスは「空き空間の収益化・集客支援事業」からスタート
した。全国の商業施設の空きスペースに見られるカプセルトイの多くは、オペレーターと
呼ばれる当社のような事業者が商業施設(販売店)の空きスペースに筐体きょうたい(カプセルトイ
の販売機)を設置し、商品の補充や集金、集客のためのプロモーションなどを行い販売す
るビジネスモデルとなっている。
日本国内のカプセルトイビジネスは1960年代から始まったとされ、1980年代の「キン
肉マン消しゴム(通称:キン消し)」ブームなど長く小・中学生などの子どもを主なターゲ
ットしたビジネスであった。そのためマシンの設置場所も駄菓子屋の軒先やゲームセンタ
ーなど子どもが集まるロケーションに集中していた。2000年代に入り「コップのフチ子」
シリーズなど大人からも人気を得る商品が登場するとともに、大型ショッピングセンター
など幅広い年齢層が楽しめるロケーションに設置が進んでいき、カプセルトイは現在もア
ミューズメントを楽しむ有力なコンテンツへと成長を続けている。
 「空き空間の収益化・集客支援事業」のバリューチェーン
出所:ヒアリングにより北洋銀行作成
カプセルトイの人気はロケーションに合った商品の選定や、プロモーションなど様々な
要素により差が生まれる。カプセルトイ業界では、ハンドスピナーやプッシュポップなど
次々と人気の商品が生まれているが、多くの商品は発注から納品まで3か月程度を要する
ため、当社ではSNSなどで次に人気が出そうなアイテムを日々チェックし、トレンドを先
読みした商品の選定を行っている。また、ロケーションに応じてポスターや動画などで場
を盛り上げる演出を行っているほか、そのまま設置すると真っ白で単調になりがちなマシ
ンに注目度を高めるデコレーションを施す「GACHA-CAP(ガチャキャップ)」や、催事会
場仕様のカプセルトイ専門店「GACHA WALL(ガチャウォール)」など、様々なプロモー
ションを行っている。
トーシンが創造する「空き空間の収益化・集客支援事業」は、カプセルトイを主力に、
現代の消費行動やコンテンツ、最新技術をミックスした適切な企画と魅力的な空間づくり
や、管理・メンテナンスまでワンストップでサポートしているのが特徴だ。
5/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
■ 「GACHA-CAP」の導入事例
出所:トーシン提供資料
② 店舗運営事業
現在、トーシンの成長ビジネスとなっているのは「店舗運営事業」である。代表的な店
舗ブランドはカプセルトイ専門店の「#C-plaシープラ」(以下、シープラ)で、2024年7月現在、
152店舗を運営している。
上述した通りカプセルトイビジネスは子どもから幅広い世代へとターゲットを拡大し成
長してきたが、あくまで空きスペースの収益化をサポートするサブ的なコンテンツとして
捉えられてきた。しかし、2010年代からはインバウンドの増加とともに、安価で小さいな
がらも精巧なクオリティのカプセルトイは外国人観光客らに高い人気を博し、2010年代後
半からシープラのようなカプセルトイが主役の専門店が登場する。インバウンド需要は新
型コロナ禍により急速に縮小したが、感染症拡大に配慮しながらもアミューズメントを楽
しめるカプセルトイ専門店は幅広い世代から支持され、コロナ禍で生じた商業施設の空き
テナントに数多く出店されるようになった。
トーシンでは2018年に「店舗運営事業」に参入して以来、2023年7月に節目となる
100店舗目のシープラがオープンに至るなど順調に成長を続けている。
 「店舗運営事業」のバリューチェーン
出所:ヒアリングにより北洋銀行作成
当社が展開するシープラの店舗は「カプセルトイプラネット」(略して#C-pla)と
して、店舗を惑星(プラネット)に見立て、地域にあったテーマ設定をしているのが
特徴だ。一例として、「#C-pla 狸小路4丁目店」では地名からタヌキをテーマとした
店舗づくり、「#C-pla 神戸マルイ店」では日本随一の洋菓子の街である神戸市からチ
ョコレートをテーマとした店舗づくりを行っている。
6/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
また、各店舗には購入したカプセルトイをその場で組み立てし、撮影できる専用ブース「C-pit
(シーピット)」や、カプセルトイの世界などを紹介するトーシンオリジナルチャンネルの「C-Channel
(シーチャンネル)」をデジタルサイネージで放映するなど、商品を購入するだけでなく、カプセルトイを
楽しめる場所づくりを行っている。地域や立地などさまざまな環境に合わせ、適切なターゲッ
ト設定から店舗テーマ・レイアウト・デザイン・コンテンツを構築し、世界にひとつ
の店舗空間を創出しているのがシープラの特徴だ。
 店舗とカプセルトイの組み立て・撮影ブース「C-pit(シーピット)」
出所:トーシン提供資料
 全国の#C-pla店舗(2024年7月末時点)
出所:ヒアリングにより北洋銀行作成
7/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
③ ビジネスの特徴
「空き空間の収益化・集客支援事業」と「店舗運営事業」の2つのビジネスを行うトー
シンでは、それぞれのビジネスによりシナジーを生み出している。当社のカプセルトイビ
ジネスは、1978年にバンダイ初のカプセルトイ販売機「BVM100型」を帯広市内に設置
開始したことから始まり、以来40年超カプセルトイのビジネスを手掛けてきた。カプセル
トイのオペレーターとして長くアミューズメントに携わってきたことがカプセルトイ専門
店シープラの運営や楽しめる場所づくりのノウハウに繋がり、カプセルトイ専門店運営の
中で磨き込まれた知見が、施設の空き店舗収益化での価値創造に繋がるという好循環を生
み出している。
 「店舗運営事業」×「空き空間の収益化・集客支援事業」のシナジー
出所:トーシン提供資料
また、トーシンでは企業理念の「アミューズメントの力で地域ににぎわいを地域に活力
を」、行動指針の「WIN(顧客)」「WIN(会社)「WIN(地域社会)」のもと、地域密着型
のビジネスに重点を置く。例えば、北海道を代表するさまざまな銘菓などをミニチュア化
したオリジナル商品「ミニチュア北海道」シリーズを企画・販売している。ミニチュア北
海道は2021年10月に始め、即完売となるなど人気を博し2024年3月には第3弾がは
じまった。当社はそれぞれの地域の特徴や歴史を追うことで魅力ある場所・商品づくりを
行い、ローカルマーケットとの共存と地域社会に活力を生むビジネスを行っている。
 ミニチュア北海道シリーズの一例
出所:トーシン提供資料
8/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書

9/26
(4) サステナビリティに関する方針と活動
① サステナビリティに関する方針
トーシンでは「持続可能な開発目標(SDGs)」に賛同するとともに、事業活動を通じてSDGs
の達成に貢献するため、「SDGs宣言」を策定している。この宣言では「事業活動を通じた社
会貢献」「環境への対応」「役職員の就業環境整備」の3つのテーマを設け、環境・社会・経
済に好影響を与える様々なサステナビリティ活動を行っている。

■ 株式会社トーシン SDGs宣言書

出所:トーシン提供資料
ポジティブインパクトファイナンス評価書
② サステナビリティ活動
■ 環境面
• 廃棄物の抑制とプラスチックカプセルの適切な分別回収・処理
カプセルトイにおける環境面の課題として廃棄物が挙げられる。特に商品を入れ
るカプセルは購入後には廃棄物となり、業界が抱える主要な課題の一つだ。
近年は紙などの新素材カプセルを開発する動きもみられ脱プラが推進されてい
るが、1個数百円という価格で販売されるカプセルトイで高価な新素材カプセルを
利用する動きは限定的で、今もプラスチックカプセルを使用するメーカーが主流と
なっている(カプセルの選定はメーカー側が行う)。
こういった状況を踏まえトーシンでは、カプセルレス商品を積極的に採用するこ
とで廃棄物の抑制に貢献している。カプセルレス商品の種類は様々あるが、カプセ
ル自体も商品の一部となっているアイテムが多く、空カプセルが発生しない形態に
なっており廃棄物の抑制に貢献する。
また、従来型のプラスチックカプセルに商品が入っている商品は、空カプセル回
収マシンの設置によりカプセルの分別回収を徹底している。空カプセル回収マシン
は、ピタゴラス装置のような仕掛けで、カプセルを投入するとサウンドエフェクト
が流れたり、占いやスロット等の映像コンテンツが流れたり、当たりがでたらクー
ポンを出力するなど商品購入後にも楽しみが続く仕掛けを施すことで、ユーザーの
カプセル回収を促している。また、分別回収された空カプセルは専門業者にてRPF
へとリサイクルされており、廃棄物の適切な処理が行われている。
■ 空カプセル回収マシンと分別実施の様子
出所:トーシン提供資料
• リサイクルカプセル、リサイクルマシンの利用
トーシンではカプセルの再利用を推進している。上述した通り、商品のカプセル
選定はメーカーが行うが、当社オリジナル商品においては積極的に回収したリサイ
クルカプセルを利用することで廃棄物を抑制している。また、リサイクルカプセル
への商品封入作業は就労継続支援事業所に依頼することで障がい者の就労支援に
繋げているほか、カプセルに入っていない商品は通常のカプセルに入りの商品に比
べ体積が小さくなるため輸送における環境負荷低減にも寄与している。
加えて、中古のカプセルトイマシンも積極利用している。基本的に電源を要さな
いカプセルトイマシンは適切にメンテナンスを行うことで長期間使用することが
可能だ。当社では同業他社などが手放すカプセルトイマシンを積極的に受け入れ、
10/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
メンテナンスのうえリサイクルマシンとして再利用することで廃棄物抑制に貢献
している。
• 省エネ、再エネ創出の取り組み
トーシンでは省エネや再エネ創出(太陽光発電)を通じて気候変動に貢献してい
る。カプセルトイ販売機は基本的に電源を必要しないため店舗で必要となるエネル
ギーは照明が多くを占めるが、全店舗で照明を LED 化するなど基本的な省エネの
取り組みをしっかり行っている。
一方、カプセルトイの設置場所はショッピングセンター等の商業施設に入居する
ため、当社が独自に再エネに電源を切り替えることは難しく、省エネ以外の打ち手
が限定されるのが実態だ。そのため当社では2013年から太陽光発電事業を開始し
た。創出されたエネルギーは直接当社に供給されている訳ではないが、再エネを必
要とする需要家に創出した再生可能エネルギーを供給していくことで温室効果ガ
スの抑制に貢献していく考えだ。
• 地域清掃活動への参加
トーシンでは毎年地域のゴミ拾い活動を行っている。当社のビジネスで生じる廃
棄物は、上述した通りカプセルレス商品の積極採用や分別・回収の徹底などで適切
に抑制されている。地域のゴミ拾い活動は当社のビジネスの影響で生じた環境負荷
のリカバリーではなく、役職員の環境への意識醸成を主な目的として行っている。
2024 年は札幌市内や札幌近郊の複数個所の河川やビーチなどでゴミ拾い活動を実
施することで、環境負荷低減を図るとともに役職員の意識向上を図った。
■ ゴミ拾い活動の様子
■ 社会面
• 働きがいのある就業環境整備
出所:トーシン提供資料
約1,000名の従業員が働くトーシンには、様々なライフステージの従業員が存在
する。当社では従業員らがライフイベントにより仕事と私生活に制限が生まれない
よう、慶弔休暇や産前・産後休暇、育児休暇、介護休暇、ボランティア休暇(ボラ
ンティア活動のため休暇を取得する制度)など、様々な休暇制度を用意している。
特に育児休暇は、次世代の担い手を創出していく観点で国を挙げた取り組みが推
奨されている。当社では休業者の業務カバー体制の整備のために「店舗管理者マニ
ュアル」を策定し、業務の属人性の排除と多能工化を図ることで、従業員の育休の
取得を促している。また、「育休復帰支援プラン」を策定し、円滑な職場復帰を支援
11/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
している。
また、トーシンではパート・アルバイト職員の積極的な社員登用を行っている。
当社には子育てなどのライフイベントでの制約で、パート・アルバイト職員として
従事している職員らが数多くいるが、時間的な制約はあっても仕事内容を熟知して
いる職員らは大きな戦力となる。こういった職員らには上述した各種休暇制度など
を積極的に説明し、社員登用を促している。
• 役職員の能力開発
トーシンでは役職員に合わせた様々なスキルアップ支援を行っている。入社した
社員に対しては、コミュニケーションやお客様への接遇、クレーム対応、ハラスメ
ント防止など、業務運営のベースとなるスキルの外部講師研修を実施している。ま
た、マネジメント層に対しては人材育成や店舗管理、組織マネジメント、財務会計
などの外部講師研修を通じて役職員の能力開発を後押しするとともに、トーシンが
目指す企業理念などの価値観においては代表取締役の宮本氏が講師となり、各社員
に当社の想いの浸透を図っている。
• 健康経営
トーシンでは社員らの健康状態を守るため感染症予防ワクチンの接種費用補助
や、健康増進のためのトレーニングジム費用の補助、禁煙外来受診費用の補助など
を実施し、健康維持を後押ししている。また、社員らが働きやすい職場環境を提供
するためオフィス空間にも配慮している。2024年4月に全面改装を実施した札幌
オフィスは、フリースペースやWEB会議専用ブース、そして当社のビジネスその
ものであるガチャマシンを随所に配置し、社員らのコミュニケーションと働きやす
さ、遊び心を意識したオフィス空間となっている。
■ トーシン札幌支店のオフィス空間
出所:トーシン提供資料
12/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
■ 経済面
• 事業を通じた地域活性化への貢献
トーシンでは、「アミューズメントの力で地域ににぎわいを 地域に活力を」とい
う企業理念のもと、地域社会を活性化させるビジネスに注力している。当社では、
上述した「ミニチュア北海道」などのご当地商品の企画・販売や、地域の特徴を表
現した店舗づくりに加え、こういった地域活性化に貢献するアイテム情報や店舗情
報をSNS・スマホアプリを通じて積極的に発信している。ご当地商品として「ミニ
チュア北海道」以外の一例では、大田区の非公認ご当地キャラクター「大根ちゃま」
とのコラボ商品や、各地域のおみやげ用のご当地ステッカーなどが存在するほか、
能登半島地震をきっかけに企画した「がんばろう能登!ステッカー」では、「ガチャ
リティ(ガチャガチャ+チャリティ)」と題し、収益のすべてを被災地への寄付する
活動も行った。
こういった地域密着型のビジネスを支えるのが、商品の企画やデザインを担うク
リエイターや、実際の製造を担うメーカーとの密接な連携にある。トーシンでは
2023 年からクリエイター集団「UJITA」とのコラボレーションを開始し、オリジナ
ル商品の展開を加速しており、2024年5月までに地域密着型のシープラ限定商品
は74件に上っている。こういった取り組みは地域の活性化に貢献するだけでなく、
商品の企画やイラスト、デザインなどを担うクリエイターや、製造を担うメーカー
の発展にも寄与している。
■ クリエイター集団「UJITA」とのコラボ商品の一例
出所:トーシン提供資料
13/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書

14/26
2. インパクトの特定
(1) バリューチェーン分析
インパクトの特定のためバリューチェーン分析を行った。具体的な手法として、バリューチェ
ーン(主活動・支援活動)における環境、社会、経済の側面から与える影響について、当社のサス
テナビリティ活動から分析を行った。
 バリューチェーンとESG要素
分類 環境、社会、経済に影響を与える活動




店舗開発

• 地域の特徴を表現した店舗づくり
• リサイクルマシンの利用

仕入

• リサイクルカプセルの利用
• カプセルレス商品の採用

① ロケーション管理・
プロモーション
② 店舗運営
• カプセル回収マシンによる分別回収・リサイクル
• 店舗照明のLED化






マーケティング
商品企画
法務
経理
総務
人事
IT
その他全般管理


• SNSやスマホアプリを通じたご当地商品や店舗情報の
発信
• ご当地商品の企画
• 約1,000名の雇用創出
• 各種研修制度によるスキルアップ支援
• オリジナル商品の企画・販売によるクリエイターやメ
ーカーへのビジネス機会の提供
• 地域清掃活動への参加
• 各種休暇制度によるワークライフバランス
• 働きやすいオフィス空間の提供
• 役職員の健康維持サポート
• パート・アルバイトの社員登用
• 再生可能エネルギーの創出


(2) インパクトレーダーによるマッピング
バリューチェーン分析に基づき特定したインパクトを整理することに加え、UNEP FIが提供
するインパクトレーダーによるマッピングを行う。
国際標準産業分類にて、当社の事業を「専門店によるゲーム及び玩具小売業(業種コード:
4764)」と特定した。また川上の事業は、商品のメーカーとして「ゲーム及び玩具製造業 (業種
コード:3240)」と特定した。なお、川下の事業は個人の消費者となることから特定していない。
マッピング手法は、UNEP FIのインパクトレーダーによるポジティブインパクト(PI)及びネ
ガティブインパクト(NI)とバリューチェーン分析の結果により整理していく。

ポジティブインパクトファイナンス評価書
① 当社の事業
地域の特徴を表現した店舗づくり、ご当地商品の企画、SNS やスマホアプリを通じたご
当地商品や店舗情報の発信による「健康および安全性」「 文化と伝統」へのPI増大、約1,000
名の雇用創出、各種研修制度によるスキルアップ支援による「雇用」「 賃金」への PI 増大、
オリジナル商品の企画・販売によるクリエイターやメーカーへのビジネス機会の提供による
「零例・中小企業の繁栄」へのPI増大、各種休暇制度によるワークライフバランス、働き
やすいオフィス空間の提供、役職員の健康維持サポート、パート・アルバイトの社員登用に
よるによる「健康および安全性」「社会的保護」へのNI低減、インパクトレーダーでは特定
されていないが店舗照明の LED 化、再生可能エネルギーの創出による「気候の安定性」
へのNI低減、リサイクルマシンの利用、リサイクルカプセルの利用、カプセルレス商品
の採用、カプセル回収マシンによる分別回収・リサイクル、地域清掃活動への参加によ
る「廃棄物」へのNI低減が期待される。
② 川上の事業
インパクトレーダーでは、「健康および安全性」「 雇用」「 賃金」「 零細・中小企業の繁
栄」へのPI増大、「健康および安全性」「 賃金」「 社会的保護」「 気候の安定性」「 水域」
「大気」「 資源強度」「 廃棄物」へのNI低減がマッピングされているが、トーシンが事業
に与える影響が小さいためインパクトとして特定していない。
15/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書

16/26
 トーシンの事業が与えるインパクトのマッピング(UNEP FIインパクトレーダー)
下図によりマッピング内容を可視化した。インパクトエリア/トピックのうち、黄色塗り
された箇所はバリューチェーン分析により特定されたインパクトエリア/トピックである。
また、各事業において想定されるPI及びNIをインパクトレーダーから抽出している。
川上の事業当社の事業
ゲーム及び玩具製造業専門店によるゲーム及び玩
具小売業
3240 4764
三側面インパクトエリアインパクトトピックPI NI PI NI
紛争
現代奴隷
児童労働
データプライバシー
自然災害
健康および安全性-● ● ● ●

食糧
エネルギー
住居
健康と衛生
教育
移動手段
情報
コネクティビティ
文化と伝統●
ファイナンス
雇用● ●
賃金● ●● ●
社会的保護● ●
ジェンダー平等
民族・人種平等
年齢差別
その他の社会的弱者
法の支配
市民的自由
セクターの多様性
零細・中小企業の繁栄● ●●
インフラ
経済収束
気候の安定性-●
水域●
大気●
土壌
生物種
生息地
資源強度●●
廃棄物● ●
バリューチェーン
業種
(国際標準産業分類)
【コード】
生物多様性と
生態系
サーキュラリティ
社会
社会経済
自然環境
人格と人の
安全保障
資源とサービスの
入手可能性、
アクセス可能性、
手頃さ、品質
生計
平等と正義
強固な制度、
平和、安定
健全な経済
:PIの増大またはNIの低減に係る箇所
●●:主要なカテゴリ、●:関連のあるカテゴリ
■:PIの増大またはNIの低減に係る箇所
ポジティブインパクトファイナンス評価書
(3) インパクトニーズの確認
① インパクトエリア/インパクトトピックとSDGsの関連性
下図によりインパクトエリア/トピックとSDGsの関連性を以下の通り可視化した。バリュ
ーチェーン分析(サプライチェーン及び管理部門)とインパクトレーダーによるマッピングを
通じ、取組内容を網羅的に整理している。
 サプライチェーンでのマッピング:主活動
 サプライチェーンでのマッピング:支援活動
17/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
② トーシンのインパクト
以下ロジックモデルを基に、トーシンのインパクトを整理する。六つの資本(①財務、②
製造、③知的、④人的、⑤社会・関係、⑥自然)の投下により事業を行い、アウトプットと
してカプセルトイの販売を行い、アウトカムとして①ステークホルダーとの価値共創による
地域活性化への貢献②従業員のウェルビーイングの追求③気候変動への対応がもたらされ
る。ここで言及するインパクトとは、環境/社会/経済に与える変化もしくはアウトカムその
ものと定義する。また、インパクトのうち事業別の売上構成、ビジネスモデル及びインパク
トレーダーによるマッピング結果から、より重要なものとしてコア・インパクトを特定す
る。
 ロジックモデルによる整理
〈インプットの内容〉(六つの資本)の概要
• 財務資本:安定したキャッシュフロー創出と財務基盤による経営資源への分配
• 製造資本:テナントなどのサービス提供基盤
• 知的資本:ユーザーの消費行動やコンテンツ、店舗運営などのノウハウ
• 人的資本:店舗運営やオペレーティング、商品企画、バックオフィスを担う人材
• 社会/関係資本:クリエイターやメーカー等とのリレーション
• 自然資本:カプセルトイマシンや商品の上流における天然資源
 ステークホルダーとの価値共創による地域活性化への貢献
:コア・インパクト
トーシンはカプセルトイを通じて地域活性化に貢献している。この貢献には地域の特
徴を活かした商品づくりにおけるクリエイターやメーカーとの価値共創が欠かせないこ
とから「ステークホルダーとの価値共創による地域活性化への貢献」をコア・インパク
トとして特定する。
 従業員のウェルビーイングの追求:インパクト
トーシンの企業理念である「アミューズメントの力で地域ににぎわいを 地域に活力
を」の実現と当社の成長には多様な人材の活躍が不可欠だ。当社では従業員らの健康や
成長、ワークライフバランスの充実を通じて、ウェルビーイング実現に貢献していくこ
とから「従業員のウェルビーイングの追求」をインパクトとして特定する
 気候変動への対応:インパクト
トーシンではカプセルトイビジネスにおける主要な環境面の課題である廃棄物におけ
るネガティブインパクト低減のため適切に対応を行っている。今後は事業を通じた気候
変動への影響を低減していく予定であることから「気候変動への対応」をインパクトと
して特定する。
18/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
③ 日本におけるインパクトニーズ
下図は、「SDGsインデックス&ダッシュボード2024」を参照したものであり、SDGsの
17 の目標別に日本の達成度を表している。「緑は目標達成」、「黄は課題が残っている」、「橙
は重要な課題が残っている」、「赤は主要な課題が残っている」としている。
トーシンのインパクトに対するSDGsのゴールは「3,8,9,13」であり、日本のインパクト
ニーズに概ね整合していると判断できる。とりわけ「13」は主要な課題が残っているもの、
「8」は重要な課題が残っているもの、「 3」は課題が残っているものであり、特定されたイ
ンパクトは有意義であると判断できる。
:トーシンのインパクトに関連するゴール
出所:SDSN
19/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
④ 北海道におけるインパクトニーズ
トーシンの主要な事業エリアである北海道は、「北海道SDGs未来都市計画」を策定しており、
SDGsのゴールとそれに紐づくKPIを設定している。
出所:北海道「北海道SDGs未来都市計画(2021~2024)」
20/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書

21/26
北海道SDGs未来都市計画において、「2030年のあるべき姿」の実現に向けた、特に優先的に取り
組むべき課題が共有されている。加えて北海道総合政策部計画局推進課による「北海道SDGs推進ビ
ジョン」においても北海道の課題が整理されている。今回特定したインパクトに対するSDGsのゴー
ルは、これらとも概ね整合しており、北海道においても重要度が高いものと判断できる。























出所:北海道「北海道SDGs未来都市計画(2021~2024)」












出所:北海道総合政策部計画局推進課「北海道SDGs推進ビジョン」
ポジティブインパクトファイナンス評価書
(4) 当行が認識する社会課題との整合性
北洋銀行グループは、「お客さま本位を徹底し、多様な課題の解決に取り組み、北海道の明日をき
りひらく」という経営理念と行動規範に基づく企業活動を通じて、全てのステークホルダーと地域
社会・環境の持続的発展に貢献するとともに、当行グループの中長期的な企業価値の向上と持続的
経営の実現に努めることをサステナビリティ方針として掲げている。
本評価書で特定したトーシンのインパクトは、北洋銀行のサステナビリティ方針と全体的に整合
的である。とりわけ、ESG取組方針の「1.環境方針」「2.社会貢献方針」、SDGsに係る重点テ
ーマの「1.お客様との共通価値の創造」「 2.環境保全」及び環境・社会に配慮した投融資方針の
「1.環境・社会にポジティブな影響を与えると考えられる事業に対する取組方針」に整合してい
る。
出所:北洋銀行 提供
22/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書

23/26
3. インパクトの評価
特定されたインパクトに対し、インパクトの種類(PI(ポジティブインパクト)の創出可能性、
NI(ネガティブインパクト)の低減・管理)、インパクトエリア/トピック、関連するSDGs、内
容・対応方針及び目標とKPIを整理する。

(1) ステークホルダーとの価値共創による地域活性化への貢献
:コア・インパクト
上述してきた通り、トーシンは企業理念の「アミューズメントの力で地域ににぎわいを 地域に活
力を」の実現のため、地域に合わせた店舗づくりやSNS・アプリでの積極的な情報発信に加えて、
若手クリエイターの育成やメーカーとの協働によるご当地商品企画などのコラボレーションを加速さ
せている。現在、クリエイターやご当地企業とのコラボ商品は売上高全体の1%以下の水準となって
いるが、今後は地域活性化への貢献に関する目標・KPIとして同比率を10%まで成長させることと
する。加えて、当社が経済合理性を考慮しながらも事業エリアを全国に拡大することを目標とした。
2024年7月末時点で23の都道府県で展開するシープラの店舗を経済合理性とのバランスを考慮し
ながらも全国47都道府県に拡大することで、地域活性化の輪を拡大していく考えだ。

(2) 従業員のウェルビーイングの追求:インパクト
インパクトの種類 社会的側面、経済的側面においてPIを増大
インパクトエリア /
インパクトトピック PI:「健康および安全性」「文化と伝統」「零細・中小企業の繁栄」
関連するSDGs



取組内容
① ステークホルダーとの価値共創により地域活性化に貢献する
② 事業エリアの拡大により、地域密着型のカプセルトイ専門店「#C-pla
(シープラ)」の店舗を拠点とした地域文化の発信と地域活性化の輪を
拡大する
目標とK P I
① 2030年度までに販売地域のクリエイターやご当地企業とのコラボ商品の
売上高構成比を10%に増加させる。(2023年度時点 1%以下)
② 2030年度までに「#C-pla(シープラ)」の店舗を全都道府県に拡大する。
(2024年7月末時点23都道府県へ展開)
インパクトの種類 社会面においてPIを増大、NIを低減
インパクトエリア /
インパクトトピック
PI:「雇用」
NI:「健康および安全性」
関連するSDGs



取組内容
① 健康経営の推進
② ワークライフバランスの追求
③ 役職員のスキルアップ支援
目標とK P I ① 2025年度までに毎年のストレスチェックを導入し、産業医と連携してメ
ンタルヘルスケアを実施する。
ポジティブインパクトファイナンス評価書
② 2028年度までに有給休暇取得率を67%にする。
(厚生労働省「就労条件総合調査」(令和5年)における小売業の有給休
暇取得率の平均値:59.6%)
③ 2025年度までに資格・検定取得に関する報奨制度を整備する。
(以降の目標は改めて設定する)
従業員のウェルビーイングを実現するために、健康経営、ワークライフバランス、スキルアップ
支援に関する目標・KPIを設定した。
健康経営については、これまでも従業員の健康面をサポートするためトレーニングジムの費用補
助や禁煙外来費用の補助などの取り組みを行ってきた。今後はメンタルヘルスケアのためにストレ
スチェックを実施し役職員のストレス状態を把握するとともに、産業医と連携し精神的な負荷がか
かっている役職員へのケアを実施していく予定だ。
また、ワークライフバランス推進の取り組みとして有給休暇取得率に関する目標を設定する。目
標とした67%は厚生労働省「就労条件総合調査」(令和5年)における小売業の有給休暇取得率の
平均値である59.6%を上回るとともに、当社の主な事業エリアである北海道が実施している「北海
道働き方改革推進企業認定制度」で最高加点が得られる水準であり、有意義な内容といえる。
加えて、役職員のスキルアップ支援のため資格・検定取得の報奨制度の整備を目標とした。当社
のビジネスにおいて業務独占資格のようなビジネスに直結する資格は存在しない。一方、人々にア
ミューズメントを提供する当社においては、遊び心や新しいものを探索していく好奇心が必要だ。
詳細な制度設計は今後決めるが、対象となる資格・検定の種類は制限せず、資格・検定費用の補助
と難易度に合わせた報奨金を支給する制度設計を予定している。店舗のレイアウト設計などに役立
つ可能性のある「カラーコーディネイター」などのほか、個人の知的好奇心を追求する「日本の城
郭検定」「野菜ソムリエ」「ねこ検定」など、あらゆる資格・検定を対象とすることで、多様性のあ
る組織を構築していく考えだ。
(3) 気候変動への対応:インパクト
インパクトの種類 環境面においてNIを低減
インパクトエリア /
インパクトトピック NI:気候の安 定性
関連する SDGs
取 組 内 容 ① 事業活動により生じる温
応に貢献する
目 標 と K P I
室効果ガス排出量の抑制を通じて、気候変動対
① 2030年度までに営業用車両のBEV、HEV、クリーンディーゼル車の比率
を100%とする。
(2023年度時点 24台、0%)
上述した通りカプセルトイのビジネスにおける主要な環境面の課題の一つとして使用済みカプセル
を中心とした廃棄物の存在があるが、トーシンでは、カプセルレス商品の採用やリサイクルマシン・リ
サイクルカプセルの使用、カプセルの分別回収・リサイクルなどネガティブインパクト低減の取り組み
を徹底している。新素材カプセルなど業界では新たな取り組みの萌芽もみられるが、本格化にはまだ技
術やインフラのブレイクスルーが必要な状況だ。他方で気候変動対応についてはまだ取り組みの余地が
ある。補充や集金、モニタリングなどでロケーションを巡る際には社用車を利用しているが、現在はガ
24/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
ソリン車が中心となっているため、2030年度までに全車両を BEV、HEV、クリーンディーゼル車へと
シフトすることで、気候変動対応に貢献していく。
4. インパクトのモニタリング
トーシンは、宮本代表取締役を最高責任者として主要事業の棚卸を行い、インパクトの特定、取
組内容・対応方針や目標・KPIを設定した。
本件で設定した目標・KPIの進捗状況については、トーシンと北洋銀行営業店及びソリューショ
ン部が少なくとも年に1回は定期的に情報共有を行い、北洋銀行がその達成状況や課題をモニタリ
ングするとともに、必要に応じて課題解決に向けた提案を行う。
5. 情報開示
モニタリング関連の情報開示は、北洋銀行および株式会社北海道共創パートナーズが定める「コ
ミュニケーションサポートシート」もしくはその内容に準拠するものを活用し、北洋銀行または株
式会社北海道共創パートナーズのホームページにて行うこととする。
以 上
25/26
ポジティブインパクトファイナンス評価書
留意事項
1. 本評価書の内容は、北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズが現時点で入手可能な公開
情報に加え、トーシンから提供された情報や同社への事業に関するヒアリングを通じて収集した情報に基づ
いて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブ要素の成果及びネガ
ティブ要素の低減等を保証するものではありません。
2. 本評価を作成するために活用した情報は、北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズがその
何ら表明または保証するものではありません。
裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証してい
るわけではありません。北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズは、これらの情報の正確性、
適時性、網羅性、完全性及び特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、
3. 本評価書に関する一切の権利は北洋銀行ならびに株式会社北海道共創パートナーズに帰属します。評
価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、翻案等を含む)は禁止されて
います。
26/26
セカンドオピニオン
北洋銀行 ポジティブインパクトファイナンス
株式会社トーシン サステナブルファイナンス
2024 年8月30日
本部
担当アナリスト:左近充 直人
格付投資情報センター(R&I)は北洋銀行がトーシンに対して実施するポジティブインパクトファイナンスについて
国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が制定したポジティブインパクト金融原則(PIF 原則)に適合している
ことを確認した。
R&I は別途、北洋銀行のポジティブインパクトファイナンス実施体制が PIF 原則に適合していることを確認してい
る1。今回のファイナンスに関して北洋銀行および北海道共創パートナーズの調査資料の閲覧と担当者への質問
を実施し、実施体制の業務プロセスがPIF原則に準拠して適用されていることを確認した。
北洋銀行が実施するインパクトファイナンスの概要は以下のとおり。
(1) 対象先
社名
株式会社トーシン
所在地 北海道帯広市
設立
1975 年5月
資本金 40百万円
事業内容 •カプセルトイ専門店の運営
•カプセルトイベンディングマシンレンタルによるカプセルトイの販売
•カード自動販売機によるトレーディングカードの販売
•アミューズメントマシンレンタル及び販売
•プリ機(写真シール機)レンタル
•アミューズメントコーナー運営
売上高 116億円(2024年5月期)
社員数 962名(2024年7月現在)
(2) インパクトの特定
北洋銀行および北海道共創パートナーズは対象先の事業内容や活動地域等についてヒアリングを行い、バリ
ューチェーンの各段階において発現するインパクトを分析し、特定したインパクトカテゴリを SDGs に対応させてイ
ンパクトニーズを確認した。また、当社の事業活動が影響を与える地域におけるインパクトニーズとの整合性につ
いて、持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が提供するSDGダッシュボードなどを参照し確認した。
(3) インパクトの評価
北洋銀行および北海道共創パートナーズは特定したインパクトの実現を測定できるようインパクトの内容を整
理してKPIを設定した。ポジティブインパクトはSDGs達成に寄与する取り組みとして追加性があると判断した。ま
た、北洋銀行が掲げる重点課題(マテリアリティ)と方向性が一致することを確認した。
12022 年9月28日付セカンドオピニオン「北洋銀行 ポジティブインパクトファイナンス実施体制」
https://www.r-i.co.jp/news_release_suf/2022/09/news_release_suf_20220928_jpn_3.pdf
株式会社格付投資情報センター
Copyright(C) 2024 Rating and Investment Information, Inc. All rights reserved.
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町三丁目22番地テラススクエア
(お問い合わせ)サステナブルファイナンス営業部 TEL 03-6273-7408
セカンドオピニオンは、企業等が環境保全および社会貢献等を目的とする資金調達のために策定するフレームワークについての公的機関または民間団体等が策定する当該資金調達
に関連する原則等との評価時点における適合性に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありません。また、R&Iは、適合以外の事柄につき意見を表明するものではなく、資金調
達の目的となる成果の証明、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、セカンドオピニオンに際し関連情報の正確性等につき独自の
検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、セカンドオピニオンに関連して発生する損害等につき、何ら責任を負いません。セカンドオピニオンは、
原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につき本稿末尾をご覧下さい。
1/4
セカンドオピニオン
① ステークホルダーとの価値共創による地域活性化への貢献
インパクトの種類 社会的側面、経済的側面においてポジティブインパクトを増大
インパクトカテゴリ 「健康および安全性」「文化と伝統」「零細・中小企業の繁栄」
関連するSDGs
内容・対応方針 ① ステークホルダーとの価値共創により地域活性化に貢献する
② 事業エリアの拡大により、地域密着型のカプセルトイ専門店「#C-pla(シープラ)」
の店舗を拠点とした地域文化の発信と地域活性化の輪を拡大する
目標とKPI
① 2030 年度までに販売地域のクリエイターやご当地企業とのコラボ商品の売上高
構成比を10%に増加させる(2023年度時点 1%以下)
② 2030 年度までに「#C-pla(シープラ)」の店舗を全都道府県に拡大する(2024
年7月末時点23都道府県へ展開)
② 従業員のウェルビーイングの追求
インパクトの種類 社会的側面においてポジティブインパクトを増大
社会的側面においてネガティブインパクトを低減
インパクトカテゴリ 「生計(雇用)」「健康および安全性」
関連するSDGs
内容・対応方針 ① 健康経営の推進
② ワークライフバランスの追求
③ 役職員のスキルアップ支援
① 2025 年度までに毎年のストレスチェックを導入し、産業医と連携してメンタルヘル
スケアを実施する
目標とKPI
③ 2025年度までに資格・検定取得に関する報奨制度を整備する
(以降の目標は改めて設定する)
② 2028 年度までに有給休暇取得率を 67%にする(厚生労働省「就労条件総合調
査」(令和5年)における小売業の有給休暇取得率の平均値:59.6%)
③ 気候変動への対応
インパクトの種類 環境的側面においてネガティブインパクトを低減
インパクトカテゴリ 「気候の安定性」
関連するSDGs
内容・対応方針 ① 事業活動により生じる温室効果ガス排出量の抑制を通じて、気候変動対応に貢
献する
目標とKPI
① 2030年度までに営業用車両のBEV、HEV、クリーンディーゼル車の比率を100%
とする(2023年度時点 24台、0%)
2/4
セカンドオピニオン
(4) モニタリング
北洋銀行は対象先の担当者との会合を少なくとも年に1回実施し、本PIFで設定したKPIの進捗状況につい
て共有する。日々の営業活動を通じた情報交換も行い対象先のインパクト実現に向けた支援を実施する。
以 上
3/4
セカンドオピニオン
4/4

他の画像

関連業界