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「温故創新の森 NOVARE」で直流配電システムの実証を開始

2024/05/30  清水建設 株式会社 

「温故創新の森 NOVARE」で直流配電システムの実証を開始

~水素発電設備を直流連系した2棟間マイクログリッドを構築~

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2024.05.30

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、自家発電した再エネ電力を直流のまま2棟間で融通し、エネルギー利用効率の最大化を図る直流配電システムを自社のイノベーション拠点「温故創新の森NOVARE」(東京都江東区)に導入しました。導入システムの特長は、太陽光発電設備、蓄電池設備のほか、水素燃料電池、水電解装置との直流連系を実現していることです。これにより、太陽光発電によるグリーン電力を余すことなく敷地内で活用でき、電力使用に伴うCO2排出量の削減と災害時の電源確保の両立が期待できます。今後、実施設での運用を通じて導入効果を検証し、社会実装につなげていく考えです。

カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みが加速する中、電力分野の省エネ・省CO2技術として、直流配電システムの普及拡大が期待されています。発電電力を負荷設備まで送る既存の配電網のほとんどは交流方式を採用していますが、導入が進む太陽光発電、蓄電池、水素燃料電池などの再エネ電源、LED照明、PC、水電解装置などの負荷機器は直流で動作します。直流電源からの電力をそのまま直流負荷に供給できれば、交直変換器や変圧器を削減でき、交流・直流の変換時に生じるエネルギーロスを抑制できます。

他方、カーボンニュートラル時代のまちづくりには、建物単体の省エネ・省CO2化に加え、街区内で面的にエネルギーを利用して消費エネルギーの削減を図る取り組みが求められます。敷地内に偏在する再エネ発電設備、蓄電設備を直流連系し、建物間で再エネ電力を融通し合うことで、エネルギー利用の効率化やCO2排出量の削減効果が期待できます。そこで当社は、直流配電のメリットを生かした建物間電力融通モデルを構築し、「温故創新の森NOVARE」に実証導入しました。なお、本件の取り組みは、環境省が主導する「平時の省CO2と災害時避難施設を両立する直流による建物間融通支援事業」に採択されています。

NOVAREに導入した直流配電システムは、直流発電設備の太陽光発電、水素燃料電池、水電解装置(水素製造装置)、直流で充放電するリチウムイオン蓄電池、直流負荷機器のLED照明、USBコンセント等で構成し、それぞれ太陽光発電と蓄電池、水素燃料電池と水電解装置を配置した2棟間を直流連系線で接続します。本システムでは、太陽光発電からの直流電力を交流に変換せずそのまま負荷機器に供給できるため、送電ロスの低減、エネルギー利用の効率化が図れます。

平常時のシステムの運用においては、太陽光発電からの電力供給で省CO2を図りつつ、敷地内で消費しきれない太陽光発電の余剰電力を余すことなく利用して水電解装置で水素を製造し、水素吸蔵合金に貯蔵。災害時には、太陽光発電、リチウムイオン蓄電池、水素燃料電池を用いて必要な電力を確保し、施設のBCP機能を強化します。本システムの導入効果については、再エネ電力の建物間融通によりCO2排出量を年間で約30トン削減できる見込みです。

当社は、脱炭素社会におけるエネルギー利用のあり方として、複数施設をネットワーク化して都市全体でゼロ・エネルギーの実現を目指す「ネット・ゼロ・エネルギー・ソサエティ(ZES)」を掲げています。今後、ZESの実現に寄与する要素技術の実証の場、社外のパートナーとの技術共創の場として「温故創新の森NOVARE」を活用し、先進的なカーボンニュートラル技術の社会実装につなげていく考えです。

以上

≪参 考≫

「温故創新の森 NOVARE」に導入した直流配電システム

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