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最終更新時刻:17時11分

LiDARを用いた「インバート施工モニタリングシステム」を開発

2024/07/30  戸田建設 株式会社 

新着情報 LiDARを用いた「インバート施工モニタリングシステム」を開発 インバート掘削からコンクリート打設までの一連の施工管理の効率化を低コストで実現

2024/07/30

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)とGreenBee(株)(本社:東京都中央区、代表取締役:岩本 定則)は、LiDARを活用したインバート掘削・打設管理システム「インバート施工モニタリングシステム」を共同で開発し、高知県平串市にて稼働中のトンネル工事において現場実証を行い、本システムの構築を完了しました。

図-1 システム設置・稼働状況(掘削中)

※LiDAR:レーザー光を放射し、その反射光の情報を基に対象物までの距離や形状などを計測できる技術。近年、3次元点群情報を取得する比較的安価なツールとして注目が集まる。

開発の背景

従来、インバート工では、①床付け掘削の仕上がり状況やコンクリート仕上がり位置は、水糸や施工用定規を用いて計測しており(写真-1)、その都度、掘削重機の作業半径に立ち入る必要がありました。また、②曲線形状であるインバートは、コンクリートの必要数量を正確に把握しづらく、過剰な注文や注文不足時の待ち時間の発生等が懸念されるため、過不足のないコンクリート注文が求められます。さらに、③コンクリートの品質管理において、練混ぜから打ち終わりまでの時間を管理するとともに、コンクリート打設中の時間経過に応じてコンクリート打込み位置を指示するなど、適切な打設管理が必要となります。

上記のような安全性の確保と多大な労力を必要とする施工管理業務を効率化するために、簡易な設備で、導入コストや運用時の手間などを抑えた『運用しやすいインバート施工管理のシステム』を構築しました。

写真-1 従来の床付け掘削
仕上がり位置確認状況

技術の概要

本システムは、3次元情報を取得するためのLiDAR計測器、三脚、ポータブルバッテリー、データ通信用Wi-Fi送受信機、タブレット(iPad:演算処理・表示用iOSアプリケーション搭載)で構築されます。取得した計測データはタブレットとリアルタイム通信し、自動演算処理された結果(ヒートマップ)をディスプレイに表示します。(図-1)

システムは、施工段階毎に下記の4つのモードで構成されています。

  1. 1掘削中
    インバート床付け形状(設計掘削線との差分)を表示し、掘削過不足をリアルタイムにモニタリング(図-1)
  2. 2掘削完了
    インバート掘削完了時に掘削面を計測して設計コンクリート仕上がり位置と比較、必要となるコンクリート推定量を算出
  3. 3コンクリート打設中
    コンクリートの運搬車両毎に打設後の形状を計測し、打設中の経時変化と残りの打設数量をリアルタイムにモニタリング(図-2)
  4. 4コンクリート打設完了
    打設完了後に、打設後のコンクリート面の形状と床付け面の形状の差分より、コンクリート厚さを自動で算出。任意の場所のコンクリート厚を算出して表示し、出来形帳票を自動出力(図-3)
図-2 コンクリート打設中 残りの打設数量推定表示 図-3 コンクリート厚 算出結果表示

導入メリット

  • 機材の設置からコンクリート打設完了までの準備作業及び管理業務を1人で行うことが可能であり、計測から結果表示までに必要な処理時間も1分程度となるため、省人化を実現
  • 掘削不足箇所の排除と余掘りを最小限とした高精度な掘削を行えるため、掘削サイクルが向上
  • 施工管理のための作業範囲への人の立ち入りが不要となり、作業の安全性が向上
  • 時間情報を付与したコンクリート打込み時の点群データを用いて、コンクリート打込み位置を指示できるため、適切なコンクリート打設管理を行え、コンクリート品質が向上
  • 掘削残土排出量やコンクリート使用量の削減によるコスト削減、及びCO2排出等の環境負荷の低減に期待

今後の展望

今後は、現場での本格運用により、システムの操作性向上や新たに発生する問題への対応を図り、現場条件に適したシステムへと改良を進めます。本システムを用いて、山岳トンネルのインバートにおける一連の施工管理業務の生産性を向上するとともに、インバート工全体の安全性や施工サイクルの向上などを目指し、建設現場の課題をDX推進により解決してまいります。

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