斉藤大臣会見要旨
2021年12月28日(火) 11:15 ~ 11:29
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣
閣議・閣僚懇
(大臣)私から報告は特にありません。
質疑応答
(問)HISグループの不正疑惑で第三者委員会が先日「Go To トラベル」の給付金やクーポンを最大で計6億8000万程度不適切に受け取っていたとの調査結果を発表しました。
観光庁の方でも独自調査の結果や今後の対応方針を年内に発表すると仰っておりましたけれども、検討状況をお聞かせください。
(答)本事案に関しては、先週金曜日、12月24日に、株式会社HISより、同社の調査委員会による「調査報告書」が公表され、連結子会社である株式会社ミキ・ツーリスト及び株式会社ジャパンホリデートラべル並びに、株式会社JHATが、宿泊実体が無く支給要件を満たさないままに、給付金等を受給していたとの事実が明らかになりました。
言うまでもなく、Go To トラべル事業の給付金等は国民の税金を活用したものであり、その不正受給は断じて許されることではありません。
その意味で今般のような事案はあってはならないことで、極めて遺憾です。
国土交通省としては、事実関係を更に精査の上、不正受給分について返還請求を行ってまいります。
また、今回の不正受給に関係した事業者には、Go To トラベル事業の再開時に、事業への参加を停止することとします。
今後、刑事告訴も視野に入れつつ、捜査機関と適切に連携し、引き続き必要な調査等を進めてまいります。
株式会社HISに対しては、本日、観光庁より、今般の事案に関し、親会社としてのガバナンスの欠如等について厳重注意を行い、今後の改善策の策定を指示したところです。
加えて、同社において事実関係把握のための調査を継続することも指示しました。
更に、旅行業と宿泊業の各団体に対し、今般の事案も踏まえて、コンプライアンスの徹底等についての注意喚起文書を、本日発出します。
いずれにしても、Go To トラベル事務局等において、今般の事案に限らず引き続き調査を実施し、判明した事実関係を踏まえ、再発防止策を講じてまいります。
なお、これまでに事務局の調査により判明した具体的な事実関係と本事案に関わった3社への今後の対応などについては、本日午後、観光庁とGoToトラベル事務局より、発表する予定です。
詳細については、事務局の方にお問い合わせいただければと思います。
(問)今回の会見が今年最後の閣議後会見になると思われますけれども、大臣に就任されてから3か月と日が浅いのですけれども、振り返ってみての所感をお願いします。
(答)10月4日に第一次岸田内閣、引き続き11月10日に第二次岸田内閣の国土交通大臣を拝命いたしました。
85日間が過ぎました。
この間、皆さま方に色々とお世話になりまして、本当にありがとうございました。
改めて感謝申し上げる次第です。
まず、この85日間といいますか、1年を振り返りますと、夏の大雨による被害、それから漂流軽石による被害、そして各地でおきた地震等の自然災害の激甚化・頻発化、それからコロナ禍による複数回の緊急事態宣言の発出等、国民の安全・安心を守ることが最重要であることを再認識した1年であったと思います。
私が就任した10月以降の約3か月間においても、就任直後から、関東地方で震度5強を記録した地震や漂流軽石の被害の広がり等の自然災害、走行する鉄道車両内における凶悪な事件などが相次いで発生し、国土交通行政の第一の役割が、国民の安全・安心を確保することであることを、大臣就任早々強く感じたところです。
このような認識は、現場を訪問して関係者のお話を伺う中でますます深まりました。
例えば、昨年7月豪雨で被災した球磨(くま)川(がわ)を訪れ、今なお残る被害状況を目の当たりにした際は、5か年加速化対策を含め、必要かつ十分な予算を確保し、「流域治水」の本格展開や線状降水帯の予測精度向上などの施策を重点的に進めていかなければならないことを確信しました。
また、くま川鉄道が部分開通した際にその列車に乗せてもらいまして、地域の方がいかにその鉄道の再開を喜んでいらっしゃるかということを実感して、地域公共交通のあり方ということにも取り組んでいかなければならないという思いも強くしたところです。
また今月、三陸沿岸地域を通る大動脈である三陸沿岸道路が10年8か月をかけて全線開通しました。
開通式典でも申し上げましたが、甚大な災害を乗り越え、復興をさらに加速させていく役割の重要性も強く再確認することができました。
一方、世界的にコロナ禍が長期化する中にあって、ポストコロナを見据えた官民の取組が着実に進捗し始めた一年でもありました。
京都府宮津市(みやづし)で開催した車座意見交換会では、コロナ禍で経営に大きな影響を受けている地元の交通・観光事業者等の皆さまから生の声を聞き、地域経済を支える観光や交通の本格的な復興の実現等がまさに急務であることを実感したところです。
今回の大雪で、あのとき乗ったウィラートレインズが今も運休していますが、大変心配をしています。
来年に向けてですが、このような認識や考え方に立って、来年におきましても、防災・減災・国土強靭化をはじめとした国民の安全・安心の確保はもとより、危機に瀕する交通・観光の確保・維持、持続的な経済成長の実現に向けた生産性の向上、デジタル社会やカーボンニュートラルの実現、豊かで活力ある地方創りと分散型国づくりのため、ハード・ソフト両面からのバリアフリー化の推進などにしっかり取り組み、具体的な成果を着実にあげていきたいと考えています。
来年もどうぞよろしくお願いします。
(問)HIS関連についてなのですが、先ほど、Go To トラベル再開時に参加を停止するという発言がありましたが、これは返還請求を行っている3社に対してということでいいのでしょうか。
(答)はい。先ほど申し上げましたとおり、今般の事案に関わった、株式会社ミキ・ツーリスト、株式会社ジャパンホリデートラベル及びJHATについては、今後開始予定の新たなGo To トラベル事業への参加を停止することとします。
また、株式会社HISについては、本日、観光庁より、今般の事案に関し、親会社としてのガバナンスの欠如等について厳重注意を行い、今後の改善策の策定を指示したところです。
加えて、同社において事実関係把握のための調査を継続することも指示しました。
HISについては、同社の調査委員会やGo To トラベル事務局のこれまでの調査によれば、不正受給に関与しているものではありません。
一方で、親会社として連結子会社に対する管理監督責任を十分に果たす必要があること、また、引き続き調査を継続する必要があることから、こうしたことへの対応状況を踏まえて、適切に対応していきたいと思っています。
(問)もう1点ですが、年明け以降、感染状況を見極めた上で再開を予定するGoToトラベル事業の運用に当たって今回の件をですね、教訓に何か制度面での改める必要性というのを大臣としては感じていますでしょうか。
(答)再発防止策をその中にしっかり、今回のことを教訓にして、入れ込んでいきたいと思っています。
(問)なにか具体的にこういう再発防止策が必要だということは現時点で。
(答)今の段階で、この時点で申し上げることは出来ませんけれども、再発防止策をしっかりと入れ込んだ形で再開したいと思っています。
(問)リニア中央新幹線の工事のことでお尋ねします。
先日、JR東海の発表で、岐阜県中津川(なかつがわ)市の瀬戸(せと)トンネルの工事で、国のガイドラインへの対応が不十分な部分があったと発表がありました。
一方で、静岡工区の工事については、中間報告が取りまとまりましたけれども、この水資源を巡る問題というのも含めて大臣のほうから、中間報告も踏まえて行政指導という形で行われたと思います。
これらを踏まえて、改めてですけれども、リニア建設については、国土交通省として今後、JR東海、あるいは静岡県に対してどういった形で対応されていく方針であるかということを改めてお考えをお聞かせいただけますか。
(答)リニア中央新幹線静岡工区については、有識者会議において、大井川(おおいがわ)の水資源への影響について科学的・工学的観点から活発な議論がなされ、今月19日に中間報告がとりまとめられました。
この中間報告に基づき、21日、私はJR東海社長と面談し、トンネル掘削等に伴うリスクへの対応とモニタリングを実施すること、大井川の水利用を巡る歴史的な経緯や地域の方々のこれまでの取組を踏まえ、地域の不安や懸念が払拭されるよう、真摯な対応を継続することなどの指導を行いました。
中間報告の内容については、静岡県や関係市町、地域の方々に、よく御理解いただくことが大切だと思います。
このため、静岡県と調整の上、まずは、静岡県の専門部会の委員の方々と中間報告をとりまとめた有識者会議の委員との間で、科学的・工学的な観点から意見交換や情報共有を行うこととしました。
なお、生態系への影響については、現在、静岡県専門部会で議論が進められているところであり、国の有識者会議における具体的な進め方については、静岡県とも調整の上で進めていくものと、鉄道局より報告を受けています。