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最終更新時刻:17時11分

ウクライナ避難民アンナ・シャルホロドウスカー職員による調査レポート第3弾「ウクライナ避難民が直面する就労と日本語の壁」~国際NGOプラン・インターナショナルが発表~

2024/09/20  公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン 

立ちはだかる言葉の壁、異文化に対する認識不足、資格の再取得の難しさ

国際NGOプラン・インターナショナル(所在地:東京都世田谷区 理事長:池上清子 以下、プラン)は、調査レポート「ウクライナ避難民が直面する就労と日本語の壁」を発表しました。
2022年2月24日のウクライナ紛争激化以降、日本に避難してきたウクライナの人たちは、日本政府、民間団体、民間企業からの支援を受けてきましたが、政府プログラムによる生活費の支援は、日本での滞在期間が2年に達した時点で終了します。そのため、経済的な自立が喫緊の課題となっているなか、さまざまな障壁が彼らを就労の機会から遠ざけてしまっているのが実情です。

この度、自身も2022年5月に避難民として来日し、同年12月よりプランに勤務しているアンナ・シャルホロドウスカー職員が、アンケート調査と、ウクライナ人避難民女性へのインタビューを実施し、レポートにまとめました。
本レポートでは、避難してきた人たちが日本で仕事に就く際に直面する具体的な課題が浮き彫りになった一方で、仕事に就くことができた避難民女性たちへのインタビューからは、就職成功の秘訣や、職場におけるコミュニケーションの取り方、日本語習得に対する考え方など具体的な事例が提示されており、興味深い内容となっています。


「ウクライナ避難民が直面する就労と日本語の壁」日本語版全編 
調査目的: 現在日本で働いている避難者の体験をもとに、就労過程において障壁となった言葉の問題やその他の困難について明らかにするとともに、ウクライナ人避難民の就労の直接的な障害となっている要因や状況、および可能な解決策の模索。
調査実施時期:2024年1月~5月
調査方法:アンケート調査(41件)と、ウクライナ人避難民女性12人
(フルタイム就業3人、アルバイト従業員6人、求職中4人)へのインタビューを実施。
*インタビュー対象者の選定は、女性の経験や職業分野の多様性に基づいて行ったが、特定の年齢層を選ぶことはしなかった。




【調査結果から見えてきたこと】調査を担当したアンナ・シャルホロドウスカー職員の考察
生活費支援が今年で終了するウクライナ避難民の多く(調査では44%、18人)は、収入が全くないか、生活に必要な最低限の必要経費さえ賄えないパートタイムでの就業機会しかなく、経済的な自立が可能な正規の仕事に就いている割合は17%、7人に留まっています。
これにはいくつかの要因がありますが、最大の課題は言葉の問題です。大多数の民間企業は、十分な日本語能力が備わっていない人を雇用することに後ろ向きで、日本語が堪能な人を積極的に雇用する傾向にあります。
避難しているウクライナ人の大多数が女性であることを考えると、彼女たちは、言葉の問題以外にも複数の差別や偏見にさらされていることが推測され、そのことが、彼女たち自身の心理的な障壁となっていることが見てとれます。
一方で、今回の調査から、言葉の問題はさまざまな方法で解決することができることが明らかになりました。
インタビューを受けた女性の中には、職場における積極的な働きかけや言葉に代わるコミュニケーション方法を実践している例もあり、日本企業にとっても有益な事例が示されています。
さらに今回の調査では、言葉の問題そのものとは別に、ウクライナ人やその他の外国人が日本で就業する際の障壁となる要因が明らかになりました。避難しているウクライナ人の大部分(78%、32人)は高等教育を受けており、母国においては、それぞれの分野でかなりの経験を積んでいるものの、多くの場合、専門的なスキルを活かした仕事に就くのが不可能であることが判明しました。このことから、すべての人が経済的に自立した包摂的な社会を実現するためにも、卒業資格の認定や再認定制度を簡素化し、見直す必要があるのではないかと感じました。



アンナ・シャルホロドウスカー職員 プロフィール2022年12月より国際NGOプラン・インターナショナル アドボカシーグループに所属。マリウポリ国立大学にて歴史学の学士号を取得した後、同大学院にて中等教育、歴史学、ジャーナリズムの修士号を取得。マリウポリ中等学校での歴史指導、乳幼児への英語教育・発達教育カリキュラムの作成など教育分野でのキャリアを重ねるとともに、マリウポリ市ニュースサイトのジャーナリストとして記事作成にも従事。





【関連資料】
2024年2月発表 「ウクライナから日本に避難している子どもの教育とメンタルヘルスに関する現状調査」」
https://www.plan-international.jp/about/pdf/Research_on_education_and_mental_health_of_Ukrainian_children_final_jp.pdf
2023年8月発表 「ウクライナ避難民の日本での生活状況に関する調査」
https://www.plan-international.jp/about/pdf/Research_Report_About_Ukrainians_jp.pdf 

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

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