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最終更新時刻:17時11分

気候危機から「冬を守る」環境団体POW JAPAN、持続可能な運営を目指すスノーリゾートを束ねる「サステナブル・リゾート・アライアンス」を発表

2023/12/04  一般社団法人 Protect Our Winters Japan 

活動スタートにあわせて日本全国16箇所のスキー場が加盟決定

「地球には冬が必要だ」をスローガンに掲げ、スノーコミュニティ発で気候変動から雪を守る活動に取り組む一般社団法人Protect Our Winters Japan(所在地:長野県北安曇郡白馬村、代表理事:小松吾郎、以下POW JAPAN)は、持続可能な運営を目指すスノーリゾートとその実現をサポートする企業や個人のスキーヤー・スノーボーダーを繋ぐ「サステナブル・リゾート・アライアンス」の始動を発表いたします。活動スタートと同時に日本全国16箇所のスキー場が加盟を決定しました。構想から約1年、2019年のPOW発足以来、最大規模のプロジェクトとなります。 URL:https://protectourwinters.jp/sustainableresort/



■サステナブル・リゾート・アライアンス発足の背景

日本の観光産業を支えてきたスキー場が今、気候変動に起因する雪不足や気温上昇により、運営に支障をきたすほどの影響を受けています。また、現在気候下における一冬で最も多い積雪量(1980~1999年平均)を100としたとき、将来の積雪量(2076~2095年平均)は30~70程度まで減り雪が降る期間も短くなると予想されています(*1)。気候変動による雪山への影響が問題視されるなか、POW JAPANの本拠地がある長野県白馬エリアでも、白馬村として2050年までに実現する「ゼロカーボンシティ宣言」を発令したり、観光開発のための広域型DMO・HAKUBA VALLEY TOURISMが「2025年までエリア内全スキー場が電力の再生可能エネルギーへの切替を進めている」という中期目標を定めたりと、「脱炭素化」や「再生可能エネルギーへの転換」は地域をあげて目指すべきミッションとなっています。


(*1)野心的な気候変動対策を実現できず気温上昇を1.5度以下に抑えられなかった場合を想定した数値

スキー場だけでなく、滑り手であるスキーヤー・スノーボーダーもまた、サステナブルリゾートの実現に積極的です。2022年にPOW JAPANが独自に行なったスキーヤー・スノーボーダーを対象とした調査によると、気候変動対策に積極的に取り組むスキー場を利用したいかという問いに91.5%がYESと答えるなど、滑り手からのスキー場への高い期待が見て取れます。



POWは日頃スキー場とのコミュニケーションを図る中で、脱炭素化をしたくてもどう取り組むべきかわからないという経営者や担当者の声をたくさん聞いてまいりました。スキー場が抱える課題は多種多様で、他のリゾートの真似をして上手くいくわけではないため、POWがもつ専門家やアドバイザーとの豊富なネットワークを活用してガイドライン作成やノウハウ共有をすることは、各スキー場にとって有益なものとなるはずです。また、スキー場同士の横の繋がりをサポートすることで、情報や事例の共有の面でも役立てていただき、サステナブルリゾート化の実現を促進するプラットフォームにしていきます。


この構想は1年ほど前からありましたが、最終的には国のエネルギー政策にまで働きかけられる活動にするためには、多くの企業や人を巻き込んで行う必要がありました。1年以上かけて各方面へのアプローチを続け、今ようやくスタートラインに立つことができています。全国のスキー場のサステナブル化だけでなく、連盟として国の重要なエネルギー政策にまで影響を与えられるようになることも、このアライアンスの目的のひとつ。日本においては来年以降には気候変動対策として重要な鍵を握る3~4年に一度のエネルギー基本計画の見直しが控えており、そのための議論が早くも来年には始まります。それに先駆けて今冬、重工業でも鉄鋼業でもない「スノー産業」という特定の産業から事例を作り声を上げていくことが、国の政策にもインパクトをもたらし得る力になると信じています。


■サステナブル・リゾート・アライアンスの仕組みと具体的な活動内容

遊び場である「スキー場」と、遊び手である「スキーヤー・スノーボーダーたち」が、双方の立場からともに「サステナブルリゾート」の実現を目指せるプラットフォームとして機能します。

具体的には、スキー場経営に長けた人、企業における脱炭素化の知見をもつ人、気候変動に関する科学的専門知識をもつ人など、各分野のプロフェッショナルを集めた専門チームをPOW内に設け、スキー場の脱炭素化をサポートします。欧米スキー場の先進事例や日本企業の脱炭素化を巡る潮流を踏まえ、日本のスキー場が着手すべき取り組みをまとめたガイドラインの策定・共有、また2024年春以降にはそれに付随したスキー場向けセミナーなどの実施も予定しています。



個人のスキーヤー・スノーボーダーの間では「サステナブルなスキー場で滑ることってかっこいいよね」という空気を共有し、スキー場の脱炭素化を応援する声を集めたり、滑り手がスキー場に期待することを吸い上げてスキー場側に共有したり、サステナブル化に取り組むスキー場の積極的な利用を促したりといったコミュニケーションサポートを行います。

今冬は加盟スキー場のうちいくつかと「POWチケット」の試験導入を進めます。POWチケットとは、通常のリフト券に数百円プラスした特別チケットで、差額分がそのスキー場がサステナブルな取り組みを行うための資金として寄付される仕組みです。デポジットをそのまま寄付に回せる仕組みなども構想中です。

遊び場と遊び手の循環からはじめ、将来的にはスノーリゾートのある地域全体をターゲットに、地域の宿泊施設や飲食店、交通インフラ、農業などの地域産業も巻き込みながら大きなムーブメントにしていきたいと考えています。


■日本全国から16箇所のスキー場が加盟。今冬の活動でスノーリゾートへ普及を目指す

アライアンスへの加盟条件は、サステナビリティを経営の優先事項に置くことと、脱炭素の取り組みをゲストや地域、関係事業者など「スノーコミュニティ」を巻き込んでともに実現するというコミットメントに同意することです。発足と同時に加盟を決定してくれたスキー場は、以下の16箇所となりました。

ニセコ東急 グラン・ヒラフ(北海道虻田郡倶知安町)

ハンターマウンテン塩原(栃木県那須塩原市)

マウントジーンズ那須(栃木県那須郡那須町)

かたしな高原スキー場(群馬県利根郡片品村)

たんばらスキーパーク(群馬県沼田市)

糸魚川シーサイドバレースキー場(新潟県糸魚川市)

スキージャム勝山(福井県勝山市)

タングラムスキーサーカス(長野県上水内郡信濃町)

エイブル白馬五竜(長野県北安曇郡白馬村)

白馬八方尾根スキー場(長野県北安曇郡白馬村)

白馬岩岳スノーフィールド(長野県北安曇郡白馬村)

しらかば2in1スキー場(長野県北佐久郡立科町)

白樺高原国際スキー場(長野県北佐久郡立科町)

木曽福島スキー場(長野県木曽郡木曽町)

御嶽スキー場(長野県木曽郡王滝村)

斑尾高原スキー場(長野県飯山市)



現在加盟を検討しているスキー場もいくつかあり、2023-24ウィンターシーズンは当アライアンスの普及と理解促進、加盟スキー場を増やすことに注力します。プロジェクトへの参加に興味のある団体・スキー場様はお気軽にお問い合わせください。


■12月7日(木)より、誰でも参加できる署名型キャンペーンを実施


2023年12月7日(木)~2024年2月29日(木)の間、一般スキーヤー・スノーボーダーが誰でも参加できる署名型キャンペーンを行います。

キャンペーン特典ステッカー
ホームゲレンデや思い出の詰まった大好きなスキー場をひとつ選んでいただき、あなたにとって特別なスキー場の脱炭素化・サステナブルリゾート化を応援できるキャンペーンです。オンラインでも参加できますが、BURTON、Patagonia、UPLND、GENTEMSTICK、Goldwin、PEAK PERFORMANCE、KEEN、Rhythm Japan、mountainFLOWの実店舗(※1)の店頭でQRコードを読み取り回答すると、オリジナルステッカーがもらえます。

この署名キャンペーンは、2020年にHAKUBA VALLEYのサステナブルリゾート化を求めて行った署名活動の成功体験が元になっています。集まった15,000通ほどの署名をHAKUBA VALLEYに提出した結果、SDGs宣言の中にスキー場の再生可能エネルギーへの切り替えに関する一文が加えられるという、具体的な変化を実現できました。
ひとりひとりのリアルな声は、スキー場が動くための大きな原動力になります。キャンペーンへの参加を通じて、スキー場のサステナブル化への想いを届けてみてください。

実施期間:2023年12月7日(木)~2024年2月29日(木)
キャンペーン応募フォーム URL:https://questant.jp/q/2YRGPXU5
サステナブル・リゾート・アライアンス URL:https://protectourwinters.jp/sustainableresort/
※1 店頭応募でステッカーがもらえる店舗一覧は、キャンペーン開始後にSNSにて告知いたします

■サステナブル・リゾート・アライアンス 加盟スキー場や賛同者のコメント

エイブル白馬五竜(長野県北安曇郡白馬村)
「当社はPOW JAPANが日本で発足した2019年にいち早くパートナーシップを結び、POWがスノーコミュニティを巻き込んで取り組もうとするサステナブルな活動に賛同してきました。そのPOWの新しいアライアンスと聞いてすぐに加盟を決めました。
白馬五竜ではSDGsという言葉が出てくる前から、ゲレンデのクリーンアップ活動や電力消費を抑える工夫などを重ね、2020年からはゲレンデの一部を再生可能エネルギーで運営してきました。このたび2023年12月より、100%再生可能エネルギーに切り替えます。これは私たちにとって大きな一歩ですが、もともとあった自然環境に手を加えて作ったスキー場である以上、よりよい状態にして次世代に引き継ぐ責任があると思っています。『持続可能なリゾート運営』を企業としてのコアバリューのひとつに掲げ、行動に移していきます。」















東急スノーリゾート
「スノーリゾートを取り巻く環境は、地球温暖化等の気候変動により、多大な影響を受けることが懸念されています。弊社は兼ねてからこの課題に向き合い、次世代に向けて雪のある豊かな山と大自然で遊ぶ楽しさを繋いでいくため、雪山を守るための活動を行ってまいりました。弊社が運営する7スキー場の使用電力は100%再生可能エネルギーに切り替えが完了しており、自然環境にやさしいノンフッ素ワックスの開発・販売や、自然環境の大切さを学ぶ勝山自然塾の開催といった、サステナブルな活動に取り組んでいます。
今回のSRAへの加盟を通じて、我々は環境維持に向けた取り組みを更に加速させ、皆様と共に「冬を守る」ムーブメントを推進し、未来のスキー場やウインタースポーツを守っていきたいと考えております。」
















かたしな高原スキー場(群馬県片品村)

「当社は『自然と共にする時間を、より多くの人に届ける』を使命に半世紀以上、山を舞台にリゾートを運営してきました。その中で、積雪の少なさや雪解けの早さはもちろん、恐怖を感じるほどの豪雨や、植生リズムの変化など、創業してから一度も経験したことがない現象を何度も目の当たりにしてきました。休耕地の再生や、気候問題を知るきっかけとなるサステナブルツアー、再生可能エネルギーの積極的な利用などに取り組んで来きましたが、このような場で私達の思いを声にして、皆さんで一歩ずつ気候変動に対して良い行いをしていきたいと考えています。こういった流れが深く届き、そして広がっていくことを願っています。」













和田寛氏 前岩岳リゾート代表取締役

「スキー場は雪と山という大自然の恵みを活用する特性上、気候変動の影響を最も受けやすいビジネスでもあります。
近年、世界有数の豊富な降雪量を誇ってきた白馬でも小雪傾向が顕著で、スキー場経営者としては降雪機投資を続けざるを得ない状況です。ただこれはエネルギー使用量の増加に直結し、自然環境の恵みを享受した事業が年々環境負荷を強める自己矛盾に直面し、何か他の解決策を考えないと、と感じています。
こうした中、スノーリゾートが連携し、ユーザーのご理解も深めながら「サステナブルリゾート」を目指すプラットフォームが誕生すると聞き、微力ながらお手伝いをさせていただく所存です。
自分たちが好きな環境は自分たちが守る。さあ、みんなでアクションしていきましょう。」


竹鼻圭一氏 バートンジャパン合同会社 General Manager

「スノースポーツに参加する人口が国内、インバウンド共に回復基調にあり、この好機を更に進化させることが大切です。
脱炭素に対し、何を、どうやって始めれば良いのかわからない。それに応えるのがこのPOW JAPANが新たに立ち上げたサステナブルリゾートアライアンス(SRA)だと思います。
脱炭素化に取り組むリゾートが、それを求める内外のスノーボーダーやスキーヤーに選ばれ、周辺地域への活性化にもつながる。そんな素晴らしいプラットフォームを私達も応援します。」


辻井隆行氏 Jリーグ執行役員(サステナビリティ担当 )/ 元パタゴニア日本支社長

「気候変動問題は、利害関係者がとても多く、その影響範囲が地球全体に及ぶほど広範で、さらには未来世代にも多大な禍根を残すという意味で、とても複雑な問題です。複雑な問題を解決するために必要なのは、一人の優れたリーダーではなく、全ての利害関係者がリーダーシップをもって行動することです。より多くのスノーリゾートが、企業が、地域が、滑り手の方々が、SRAの趣旨に賛同し、活動を後押しして下さることを心から願っています。」


清澤恵美子氏 POWアンバサダー/元日本代表アルペンスキーヤー/スキー解説者

「初めて欧州へ夏の遠征に行った25年前は、氷河のあるスキー場のほとんどが滑走可能で多くの人々が夏スキーを楽しんでいました。以降毎年のように夏季海外遠征を行ってきましたが、時が経つにつれて氷河が目に見えて減少し、滑走エリアも減り、今ではスキー場がクローズする事態に陥っています。
まだ日本では冬にスノースポーツができる環境がありますが、このままでは近い将来、欧州のように雪不足のためスキー場を滑ることができなくなり、いずれはスキースノーボードというスポーツが無くなる可能性もあります。
スキー場がサステナブルリゾートを目指すことに私たちも賛同し、持続可能なスノースポーツ界を自分たちの手で作ることが危機解決への一歩となる。
その想いこそが日本全体を変えていくムーブメントになると私は信じています。」

SNOW HEAVENにて、POWアンバサダーの河野健児さんと佐藤亜耶さんの対談記事が掲載されています。サステナブル・リゾート・アライアンス構想の元となるエピソードが語られていますのでぜひご覧ください。
https://snowheaven.jp/article/2839



【POW JAPANについて】


Protect Our Winters(POW)は、気候危機から「冬を守る」ためのムーブメント。2007年、気候変動が私たち滑り手にとって大切なフィールドである雪山に大きな影響を与えることに危機感を感じたプロスノーボーダーのJEREMY JONESが仲間たちとともに米国でPOWを設立。その後、POWの活動は世界13ヶ国に広まり、日本では2019年からスノーボーダーの小松吾郎を中心に、POW JAPANの活動がスタートした。「行動する仲間たちを増やす」「スノータウンのサステナブル化を促す」「市民の立場から社会の変化を促す」の3つを軸に、長野県白馬エリアを拠点に、全国のスノーコミュニティへと活動を広げる。スノーリゾートのある地域で講演やイベントを行うなど、自然を愛する日本のスキーヤー・スノーボーダーたちの声を集めムーブメントを広げている。

一般社団法人Protect Our Winters Japan 概要
名称   一般社団法人Protect Our Winters Japan
代表理事 小松 吾郎
事務局長 高田翔太郎
設立   2018年9月
連絡先  info@protectourwinters.jp

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