アセロラの研究促進に期待 ~最新ロングリード技術によるアセロラ全ゲノム解読~
2024年10月15日
報道関係者 各位
かずさDNA研究所、株式会社ニチレイフーズ、鹿児島大学は共同で、アセロラの全ゲノムを解読しました。
アセロラは中南米やカリブ諸島が原産の熱帯性低木で、ブラジルやベトナムで生産されています。果実に天然ビタミンCが豊富に含まれることから、果汁やパウダー等に加工され食品原料や化粧品原料、クリーンラベルとして注目を集めています。より高い天然ビタミンCやより特性の良いアセロラ品種の開発が求められていますが、アセロラでは効率の良い品種開発に十分なゲノム情報が得られていませんでした。そこで本研究では、最新のロングリード技術を利用してアセロラのゲノム解読を行うと同時に、取得したゲノム情報を活用して品種改良に利用されているアセロラの系統の遺伝的な違いを明らかにすることを目的としました。
ニチレイフーズが開発した、果実の天然ビタミンC含量が高い「NRA309」というアセロラの品種の全ゲノム解読を行いました。このゲノム解析には、最新のDNA分析技術を利用したため、これまでほとんどゲノム情報の蓄積がなかったアセロラにおいても10本の染色体に対応する塩基配列をほぼ完全に読み取ることができました。また、ゲノム解析の結果から、アセロラの60系統は3つのグループに分けられることを明らかにしました。なお、これらの解析に用いた材料はニチレイフーズと鹿児島大学の共同研究により作出されました。
今回のゲノム解読により、「NRA309」の配列がアセロラのスタンダードとなり、今後の研究開発が進みます。果実に含まれる天然ビタミンCやポリフェノールの量を増やすための品種改良や、安定した生育、高い機能性を保持したアセロラの開発などが期待されます。アセロラが含まれるヒイラギトラノオ属やキントラノオ科におけるゲノム研究にも貢献できることが考えられます。
タイトル:Chromosome-scale genome assembly of acerola (Malpighia emarginata DC.)
著者:Kenta Shirasawa, Kazuhiro Harada, Noriaki Haramoto, Hitoshi Aoki, Shota Kammera, Masashi Yamamoto, Yu Nishizawa
掲載誌:DNA Research
DOI: https://doi.org/10.1093/dnares/dsae029
本研究は、(公財)かずさDNA研究所、JSPS科研費(22H05172、22H05181)の研究助成を受けたものです。
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