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最終更新時刻:17時11分

教職員アンケート結果を公開!授業の持ちコマ数、週いくつが妥当?(2024年ver.)

2024/10/22  特定非営利活動法人 School Voice Project 

現場の窮状と、その改善を求める切実な声が多数。授業以外の業務や、受け持つ科目数や人数規模、評価活動の負担が増していることなど、コマ数だけでは判断できない実態も。




2023年9月~12月にSchool Voice Projectが行った授業の持ちコマ数に関するアンケート調査では、校種に関わらず、多くの先生がコマ数の多さに負担を感じている現状が明らかになりました。
▶︎2023年に実施したアンケート結果はこちら

その約半年後の8月、文部科学省は教師の処遇改善や学校の働き方改革の加速化のための「教師を取り巻く環境整備 総合推進パッケージ」を発表。教職調整額を引き上げる方針などが話題となりましたが、授業の持ちコマ数に関しても 「小学校中学年の学級担任持ちコマ数は週3.5コマ減、新採教師の持ちコマ数は週5コマ減」 という具体的な目標が示されました。(参考:教師を取り巻く環境整備総合推進パッケージ,文科省)
しかし、実際には全国で深刻な教員不足が続いており、このままでは学校活動や授業の質を維持できない、という声も少なくありません。指導の質の維持・向上のためには、教員一人あたりにつき、どの程度のコマ数が理想であり、そのためにどのような解決策を図れるのでしょうか。School Voice Projectでは再度、全国の小中学校・高等学校の教職員から、授業の持ちコマ数の現状やそれに対する意見、理想のコマ数に関する声を集めました。
アンケートの概要
■対象  :全国の小~高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年9月5日(木)~2024年9月24日(火)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :107件
※現在、一般的に小学校では学級担任制(一人の学級担任の教員がほとんどの教科を教える体制)、中学校・高校では教科担任制(一人の教員が専門教科を受け持ち、複数の学級で授業を行う体制)が採られています。そのため、例えば、小学校における持ちコマ=6コマとは6回の異なる授業を行うことを意味する場合が多いですが、中学校・高校においてはそうではないことが多いです(3つのクラスで異なる授業を2回ずつ行う等)。また、特別支援学校においては、個別の指導計画に沿って授業が行われるため、他の校種とはさらに事情が異なります。その点を加味して下記のアンケート結果をご覧ください。
アンケート結果
Q1. 現在、受け持っている週の授業コマ数はいくつですか?
※ここでのコマ数とは、会議等を含めない“授業”のコマ数です(以下の設問でも同じ)



前回の調査と同様、児童生徒の学齢が低い校種であるほど、授業のコマ数が多いという傾向が見られました。
小学校は、前回と同じく全体の74%の教員が20コマ以上を担当。中でも25コマ以上を担当する教員は24%から38%に増加し、負担がより増えていることが伺えました。特に学級担任や通級を担当する先生からは、逼迫した現場の様子を訴える声が多く届けられました。
中学校では、21コマ以上を担当する教員が全体の21%から33%に増加。高等学校では、16コマ以上を担当する教員は全体の55%となり、前回の57%と比べて大きな変化は見られませんでした。

Q2. 現在の持ちコマ数で、児童・生徒に充実した授業ができていますか?



こちらも前回と変わらず、担当している授業コマ数が多いほど、充実した授業ができていないと感じている人が多い傾向がありました。
持ちコマが25以上の人に限定すると、実に全体の78%が「あまりできていない・できていない」と回答していました。また校種別では、持ちコマ数がかさむ傾向のある小学校の先生に「できていない」の回答が最も集中しました。

Q3. 児童・生徒にとって望ましい授業の質を維持するため、あなたが適切だと考える持ちコマ数の上限はいくつですか?



授業の質を維持するために望ましいコマ数は、小学校では「15~19コマ」と回答した人が71%と最も多い一方で、中学校では「10~14コマ」と回答した人が54%、高等学校では77%と共に最多でした。こちらも他のアンケートと同様、前回と同じ結果となりました。
また小学校だけで見ると、15未満のコマ数を選んだ人が20%増となり、授業の質の維持のためにコマ数の削減を望んでいる人が多いことが伺えました。

Q4. 授業の持ちコマ数について、あなたの意見を自由にお書きください。

<総時数やカリキュラムの見直しが必要>
・学習内容の見直しをして、今の時代で本当に必要な内容を精選して取り組むべきだと思います。プログラミング教育やキャリア教育、外国語、道徳の教科化などやることが増えているので、その分他の部分で内容を見直して欲しいです。【小学校・教員】
・総時数を減らして欲しいです。教員に空き時間が増えたとしても、子供は減りません。教員の働きやすさと同時に子供の学びやすさを考えたら、総時数を減らす以外にないと思います。授業日数を増やして、1日あたりの指導時数を減らすと言いますが、子供が強いられる時間はトータルでは変わりません。【小学校・教員】

持ちコマ数だけで判断できない側面がある
・結局、病休や育休などで学校現場にいなくなる先生の代わりがいないのでみんなで補助している。時間数は関係ないと思う。来ている人は休む人の代わりにも授業をする。【中学校・教員】
・持ちコマ数だけで考えるのは難しいです。テキスト数のほうが大きい要素かもしれません。授業コマ数を減らすのを考えるよりも、授業以外の業務を減らすことを考えるほうが重要だと思います。【中学校/高等学校・教員】

負担軽減のために、何が必要か
・理科や音楽や書写などの専門的な科目は専科の先生に見てもらえたほうが、授業の質も上がるしほかの研究の時間にも充てられそうです。【小学校・教員】
・会議の時間を減らすことが教員の福利厚生、授業の充実につながる気がします。【中等教育学校・教員】

▼まとめ
前回のアンケート調査と同様、小学校の教員の授業コマ数が最も多く、児童・生徒の学齢が上がるほど少なくなる傾向が見られました。
しかし、授業以外の業務に割かれる時間や、受け持つ科目数や人数規模、評価活動の負担が増していることなど、一概にコマ数だけでは判断できない実態があることもわかりました。
今回のアンケート調査では、現場の窮状と、その改善を求める切実な声が多数寄せられたため、なるべく多くの意見を記事の中で引用いたしました。校種を問わず、教員の多忙解消と、それによる授業の質向上や教員の心身の健康の保証は、依然として急務であると言えます。


※WEBメディア「メガホン」の記事(https://megaphone.school-voice-pj.org/2024/10/post-5489/)より、自由記述の内容がご覧いただけます。また全回答がデータもDLしていただけます。
運営団体:NPO法人 School Voice Project






学校現場の声を「見える化」し、対話の文化をつくるプロジェクト。児童生徒も教職員も「自分の思いや声には価値がある」「私には現実を変えていく力がある」と実感できる学校づくりのために、教職員WEBアンケートサイト「フキダシ」と学校をよくするWEBメディア「メガホン」の運営、政策提言・ロビイング活動を行なっています。

【団体名】NPO法人 School Voice Project
【代表理事】大野 睦仁
【設立】2022年8月19日
【所在地】〒103-0004 東京都中央区東日本橋二丁目28番4号 日本橋CETビル2階
【問い合わせ先】https://school-voice-pj.org/contact.html
School Voice Project の発信媒体
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