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最終更新時刻:17時11分

糖尿病患者のインスリン投与量を予測する人工知能(AI)の臨床性能試験開始のお知らせ

2024/08/19  株式会社 レナサイエンス 

2024年8月19日

株式会社レナサイエンス

糖尿病患者のインスリン投与量を予測する人工知能(AI)
の臨床性能試験開始のお知らせ

当社は、『糖尿病治療支援プログラム医療機器』の臨床性能試験1)を開始しますのでお知らせします。本試験は、薬事承認のための検証的臨床試験であり、東北大学など国内5医療機関で実施します(研究代表者は東北大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科学片桐秀樹教授)。

なお、本プロジェクトは当社を代表機関として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による令和4年度医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)に採択されております。

糖尿病患者の血糖値を厳格にコントロールし、また、糖尿病合併症を予防するためにはインスリン注射治療が必要です。しかし、インスリンの安全な用量域は狭く、過剰投与で低血糖を生じるために、患者ごとに最適な種類と投与量を選定する必要があり、糖尿病専門医は経験に基づく暗黙知などを考慮して、投与量を設定しています。一方、糖尿病専門医は医師全体の2%もおらず、地理的にも偏在しているため、現状では糖尿病患者の主治医が糖尿病専門医であるとは限らず、むしろ非専門医に受診することが多い状況で、非専門医にとって大きな負担となっています。

当社は、少ない人的資源で糖尿病診療に携わる医療従事者の負担を軽減し、患者のQOLを改善するために、非専門医にも専門医レベルのインスリン治療を実行できるよう支援するAIを活用したプログラム医療機器(ソフトウェア)の開発に、東北大学、日本電気株式会社(NEC)、NECソリューションイノベータと共に取り組み、糖尿病治療支援AI(DM-SAiL)を開発しました。「DM-SAiL」は糖尿病専門医の判断とインスリン単位で2単位以下の誤差精度で予測が可能です。開発したAIを医療現場で使用できるようにするためには、実際にヒトの臨床データを用いて、臨床現場で期待した性能を発揮するかを確かめる必要があり、そのために本臨床性能試験を実施します。臨床性能試験で確認できた性能に基づき、厚生労働省へプログラム医療機器として製造・販売するための申請(薬事申請)を行います。

本AIは、糖尿病入院患者のインスリン投与量を専門医と同等の精度で予測することのできるAIであり、簡易血糖測定による血糖値から必要なインスリン投与量を予測します。実用化することができれば、糖尿病慢性合併症の進行抑制、入院中の有害事象(例:死亡、感染症や呼吸不全の新規発症など)の抑制などが期待できます。非専門医は、自身にとって固有の専門業務(手術や他疾患診療など)の時間を割いて糖尿病入院患者の診療をしていますが、本AIによりその労働時間の一部を削減できると考えます。患者にとっては、血糖値が良好に推移することで糖尿病慢性合併症の進行抑制にも繋がると期待されます。

なお、本件による業績への影響は現時点では特にありません。

1)臨床性能試験
開発中のプログラム医療機器(SaMD:Softwareasamedicaldevice)を医療現場で使用できるようにするためには、実際にヒトの臨床データを用いて、臨床現場でそのプログラム医療機器が期待した性能を発揮するかを確かめる必要があります。臨床性能試験は、その検証のために実施する臨床研究です。臨床性能試験で確認できた性能に基づき、厚生労働省へプログラム医療機器として製造・販売するための申請(薬事申請)を行います。医薬品における検証試験(第三相試験)と同様な性格を有する臨床研究です。

以上

【ご参考:本適時開示に関するQA】
・糖尿病患者のインスリン投与量を予測する人工知能(AI)の臨床性能試験はいつまで行われる予定ですか。

東北大学など国内5医療機関で実施し、令和7年3月31日までを予定しております。

・対象とする糖尿病の種類は何ですか。

入院中の2型糖尿病を対象としており、強化インスリン療法を行っている患者を対象としています。1型糖尿病は糖尿病専門医による高度な糖尿病治療が必要であり、本機器の対象外としております。2型糖尿病になると、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性がおこり、血糖値が高くなります。2型糖尿病の原因には、遺伝的要因、加齢や生活習慣などの環境的要因が複合的に関与しています。日本では2型糖尿病の患者数は増加傾向にあり、厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)は約1,000万人、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)も約1,000万人と推計されており、合わせて約2,000万人が糖尿病またはその予備群とされています。

・AMED採択課題について
事業名:令和4年度「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)」
研究課題名:糖尿病患者のインスリン投与量を予測する人工知能(AI)の開発
研究開発代表機関:株式会社レナサイエンス
研究開発分担機構:東北大学、広島大学

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