2024 年7月11日
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
HMT のメタボローム解析技術がリュウグウ試料中の多様な有機酸の存在を明らかに
～生命誕生へつながる化学進化を解明する上での重要な知見獲得に貢献～
メタボローム解析サービスのトッププロバイダーであるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社（代表取締役:橋爪 克仁、本社:山形県鶴岡市、以下「HMT」)は、ω Scan※1にて利用される高感度メタボローム解析プラットフォームを用いて、小惑星探査プロジェクト「はやぶさ2」にて小惑星リュウグウ（以下、「リュウグウ」）から採取された試料に65種類もの親水性に富む有機酸が含まれることを明らかにしました。
HMT は、2022年6月より、国立研究開発法人 海洋研究開発機構（神奈川県横須賀市、理事長：大和 裕幸）、国立大学法人 東京工業大学（東京都目黒区、学長：益 一哉）地球生命研究所（東京都目黒区、所長：関根 康人）、慶應義塾大学先端生命科学研究所（山形県鶴岡市、所長：荒川 和晴）のバイオジオメタボローム解析※2に関する共同研究を推進しております。今般、本共同研究の成果がNature Communications 誌にオンライン公開されました。(日本時間2024年7月10日)
本研究では、リュウグウ試料における水溶性成分を抽出し、生命活動を示すエネルギー代謝の中心的な分子であるピルビン酸やクエン酸などの有機酸の他、含窒素化合物や含硫化合物を特定しました。これらの物質は生命体を構成するアミノ酸や核酸塩基の元となる物質として重要でもあり、地球外において生命誕生に関わる多様な原材料が存在する証拠となりえます。また、これらの物質の存在は水が関わる化学進化※3の記録でもあることから、非生命的な有機分子の進化過程を示す重要な手がかりとなります。今回の成果は、初期太陽系の軽元素（C, H, N, O, S）や有機分子がどのように存在し、進化してきたかを明らかにする重要な情報を提供しています。当社は多種多様な試料の解析で蓄積された豊富なノウハウと、当社独自の高感度・高精度メタボローム解析技術を有しており、本研究チームに参画することで、リュウグウ試料に含まれる多様な有機酸の存在を明らかにし、初期太陽系における化学進化を解明する重要な知見を得ることに貢献しました。
今後の展望として、NASAのOSIRIS-REx探査機による小惑星ベンヌのサンプルリターンなどの国際プロジェクトが進行中であることから、それらの研究結果と今回のリュウグウ試料の結果およびこれまでの解析結果と比較することが可能となり、さらなる生命起源の知見が得られるものと期待されます。
HMT の先進的な分析技術は、一般的な生命科学分野に留まらず様々な分野の更なる科学の発展に今後も貢献いたします。
なお、本論文掲載が当社業績に与える影響については、軽微です。
※1 キャピラリー電気泳動（Capillary Electrophoresis; CE）とフーリエ変換型質量分析計(Fourier Transform Mass Spectrometer; FTMS)である OrbitrapMS を組み合わせた、高分離能と高分解能、高感度を併せ持つ分析装置であるCE-FTMSを用いた、水溶性代謝物質の網羅解析サービス。
※2 バイオジオメタボローム解析は、細胞や生体内に存在する代謝物質を解析するバイオ（Bio）の要素、宇宙や地球環境に起因する物質を解析するジオ（Geo）の要素を包括的に読み解き、分子進化を含めた生命現象および環境動態を分子レベルで総体的に解析（Metabolome）する新しい分野。遺伝子を解析するゲノミクス、タンパク質を解析するプロテオミクスなどとともに、複合的オミクスのアプローチとして、地球惑星科学や地球生命科学における新規の解析手法と定義しています。
【関連情報】
・HMT がJAMSTEC、東京工業大学、慶應義塾大学と共同研究 バイオジオメタボローム解析が拓く自然界の有機分子構成の解明
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6090/tdnet/2139975/00.pdf
・HMT_小惑星リュウグウの粒子から核酸塩基を検出
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6090/tdnet/2253445/00.pdf
※3 生命の進化史において、単純な無機分子から生命の基本構成要素となる複雑な有機分子が形成されるまでの過程。
以上
【ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社 会社概要】
本社所在地： 山形県鶴岡市覚岸寺水上246番地2
代表者： 代表取締役 橋爪 克仁
証券コード： 6090 (東証グロース)
事業内容： 先端研究開発支援事業（メタボローム解析試験の受託）
ヘルスケア・ソリューション事業（ヘルスケア研究開発支援）
URL：
https://humanmetabolome.com/
本件についてのお問い合わせ先
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
事業統括本部 イノベーション・グループ
TEL：03-3551-2180 FAX：03-3551-2181
E-mail：invre1@humanmetabolome.com
