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2023 年(第 32 回)ブループラネット賞 受賞者発表

2023/06/14  公益財団法人 旭硝子財団 

地球環境国際賞

公益財団法人 旭硝子財団(理事長 島村琢哉、所在地 東京都千代田区)は、今年で32回目を迎える、ブループラネット賞(地球環境国際賞)の2023年の受賞者を決定いたしました。


本賞は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年(平成4年)に設立され、地球環境問題の解決に関して社会科学、自然科学/技術、応用の面で著しい貢献をされた個人、または組織に対して、その業績を称える国際的な賞です。本年度の受賞者は以下の二組に決定いたしました。

1.リチャード・トンプソン教授(英国) 1963年7月15日 英国生まれ
  プリマス大学教授、プリマス大学海洋研究所所長
  タマラ・ギャロウェイ教授(英国) 1963年2月6日 英国生まれ
  エクセター大学教授、エクセター大学生態毒性学研究グループ長
  ペネロープ・リンデキュー教授(英国) 1971年9月7日 英国生まれ
  プリマス海洋研究所 海洋生態学・生物多様性 科学部門長
(左から)リンデキュー教授、トンプソン教授、ギャロウェイ教授
海洋中にマイクロプラスチックを発見し、その深海から高山にまでに及ぶ分布を示した。また、動物プランクトンを含む海洋生物がマイクロプラスチックを摂取していることを明らかにし、マイクロプラスチックの海洋生物や生態系プロセスへの影響に関する理解が大きく進展した。この研究は世界中での法制定と行動に影響し、深刻化した海洋のプラスチック汚染の問題に対処すべく解決策を講じるよう国際社会に対して求めた。


2.デバラティ・グハ=サピール教授(ベルギー) 1953年11月11日 インド生まれ
  ルーヴァン・カトリック大学教授、災害疫学研究センター所長、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ
  公衆衛生大学院 人道的健康センター上級研究員
グハ=サピール教授
気候変動に起因する嵐などの巨大災害、地震などの地球物理学的災害、パンデミックなどの生物学的災害、紛争などの人道的災害を含む世界の大規模災害に関する初めてのデータインフラである災害データベース(Emergency Events Database, EM-DAT)を創始、その開発を主導した。EM-DATと30年以上にわたる研究成果は、エビデンスに基づいた政策形成に不可欠な科学的データの基礎となるもので、多くの国際機関、各国政府・研究機関などが気候変動緩和策・適応策や防災・減災に取組むにあたり用いている。


●毎年原則として2件を選定し、受賞業績1件に対して、賞状、トロフィーおよび賞金50万米ドルが贈られます。
●表彰式典は 10月4日(水)に東京會舘(東京都千代田区)で行う予定です。受賞者による記念講演会は、10月
5日(木)に東京大学、10月7日(土)に京都大学で開催を予定しています。

※本リリースは環境記者クラブ、環境記者会、重工記者クラブに同時配布しています。
※本リリース及び本年度受賞者の写真は、6月14 日 午前 11 時から当財団 HP (https://www.af-info.or.jp)にて入手可能です。
※本リリースに関する動画をYouTubeにてご覧いただけます。 



< 受賞の辞 >
・リチャード・トンプソン教授、タマラ・ギャロウェイ教授、ペネロープ・リンデキュー教授
2023年のブループラネット賞受賞者に選ばれたことは、本当に光栄です。この賞は、プラスチック汚染が、海洋の健全性、生態系、生物、そして汚染が海洋に依存している経済に対しても世界的な脅威であることを改めて示した証です。

私たちの学際的な研究は、海洋環境におけるマイクロプラスチックの存在を確立することから始まり、プラスチックやそれが含む化学物質による危険性を特定する技術を開発し、同時に、それらの拡散を防ぐ解決策を提供し、プラスチックの使用に関する世界的な法律の制定にも影響を与えるようになりました。

私たちは、将来の世代のために健全で豊かな海という共通のビジョンを目指して取り組みを続けます。これは、過去20年以上にわたって共に働いた多くの科学者、学生、協力者たちと共有する目標です。

私たちの研究が、循環型経済におけるプラスチックのより持続可能な使用を促進する技術革新を支え続け、社会におけるプラスチックの使用と管理に関する個人的、集団的な取り組みにも影響することを私たちは望んでいます。


・デバラティ・グハ=サピール教授
2023年のブループラネット賞受賞者として選ばれたことは、大変な名誉であり光栄なことです。
旭硝子財団は、環境と気候を世界の発展の主要な課題として位置づけ、これまでに多くの非常に素晴らしい人々の取り組みを支援してきました。このような偉大な人々の仲間入りを認められありがたく思うとともに、高い評価をいただき身の引き締まる思いです。

私の研究は、自然災害、特に増加している極端な気象災害に焦点を当てています。激甚災害が個人、家族、そして地域社会に及ぼす影響に取り組んでいます。洪水、熱波、サイクロンなどの気候災害が世界的に急増し、貧しく脆弱な地域社会ほど壊滅的な影響を受けています。

私の研究は、このような災害の影響によるリスクが高い地域社会を守るため、データに基づく実践的な解決策を見つけることを目指しています。

ブループラネット賞を受賞することは、私にとって非常に素晴らしい機会となります。この賞をいただき、極端な気候の影響を減少させ、世界中で多くの地域社会が気候変動に適応するのを支援するため、より良いエビデンスとデータにしていく仕事を継続することができます。


<本年度(第 32 回)の選考経過>
国内509名、海外947名のノミネーターに推薦書を送り、182件の受賞候補者が推薦されました。候補者の分野は、多い順に生態系32件、環境経済・政策が33件、環境倫理25件などでした。候補者は41ヶ国にわたります。

選考委員会による数次の審査をもとに顕彰委員会に諮った後、理事会で、1件はリチャード・トンプソン教授、タマラ・ギャロウェイ教授、ペネロープ・リンデキュー教授が、もう1件はデバラティ・グハ=サピール教授が受賞者として正式に決定されました。

<ブループラネット賞について>
人類が解決を必要としているグローバルな諸問題の中で、最も重要な課題の一つが地球環境の保全です。地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、河川・海洋汚染などの地球環境の悪化は、いずれも私達人間の生活や経済活動が大自然に影響を及ぼした結果です。

旭硝子財団は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年(平成4年)に、地球環境問題の解決に向けて著しい貢献をした個人または組織に対して、その業績を称える地球環境国際賞として「ブループラネット賞」を創設いたしました。

賞の名称の「ブループラネット」は人類として初めて宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士ガガーリン氏の言葉「地球は青かった」にちなんで名付けられました。この青い地球が未来にわたり、人類の共有財産として存在しつづけるようにとの祈りがこめられています。

<歴代受賞者>





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