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2024 年(第33 回)ブループラネット賞 受賞者発表

2024/06/19  公益財団法人 旭硝子財団 

地球環境国際賞

公益財団法人 旭硝子財団(理事長 島村琢哉、所在地 東京都千代田区)は、今年で33回目を迎える、ブループラネット賞(地球環境国際賞)の2024年の受賞者を決定いたしました。

本賞は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年(平成4年)に設立され、地球環境問題の解決に関して社会科学、自然科学/技術、応用の面で著しい貢献をされた個人、または組織に対して、その業績を称える国際的な賞です。本年度の受賞者は以下の2件に決定いたしました。

1.ロバート・コスタンザ教授(米国・オーストラリア) 1950年9月14日 米国生まれ
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、グローバル・プロスペリティ研究所

ロバート・コスタンザ教授

コスタンザ教授は、1997年の論文で、自然環境が人間に提供する生態系サービス(※1)の経済的価値が、当時の世界のGDP総額を上回っていることを初めて実証し、それまで過小評価されていた生態系サービスの重要性を世界に示した。経済は社会と有限な生物圏に組み込まれていると考える「生態経済学」という新しい学術分野の共同創設者でもあり、生態系が持続可能である幸福な社会の実現を積極的に提唱している。
※1 自然の生態系が人間にもたらす恩恵のこと。例:水供給、気候の調節、景観、受粉など。


2.生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム (IPBES(イプベス))
設立:2012年4月21日(事務局:ドイツ)

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム (IPBES(イプベス))

IPBESは、生物多様性、生態系サービス、そして自然が人間にもたらすものについての知見と科学における最先端の国際機関である。IPBESの画期的な報告書は、様々な規模、分野、知識体系において科学に基づいた政策や行動の基盤となっている。企業による環境への影響の評価、開示、改善も始まっており、IPBESの評価報告書は、企業のサステナビリティ戦略やESG(環境、社会、ガバナンス)活動の構築に役立てられている。

●毎年原則として2件を選定し、受賞業績1件に対して、賞状、トロフィーおよび賞金50万米ドルが贈られます。
●表彰式典は 10月23日(水)に東京會舘(東京都千代田区)で行う予定です。受賞者による記念講演会は、10月24日(木)に東京大学、10月26日(土)に京都大学で開催を予定しています。

※本リリースは環境記者クラブ、環境記者会、重工記者クラブに同時配布しています。
※本リリース及び本年度受賞者の写真は、6月19 日 午前 11 時から当財団 HP (https://www.af-info.or.jp)にて入手可能です。


<受賞の辞>
・ロバート・コスタンザ教授
2024年ブループラネット賞の受賞者として選ばれたことは、誠に光栄であり、身の引き締まる思いです。旭硝子財団は、私の知る研究者を含め、より良い世界を創るという共通の目標を持つ多くの卓越した個人や団体の活動を支援されてきました。今回、このような方々の仲間入りができることを大変喜ばしく思います。

私の研究は、地球を統合された複雑なシステムとして捉えることに重点を置いています。経済は社会や自然の中に組み込まれており、この統合的な視点なしには、システムを理解したり効果的に管理したりすることができません。それが、私が創設に携わった生態経済学という学際分野の本質です。特に、私は自然資本とそれが提供する生態系サービスの理解、モデル化、価値評価に取り組んできました。

その結果、自然資本や生態系サービスによる人間の持続可能な幸福への寄与は、GDPで表す市場で取引される財・サービスの貢献をはるかに上回っていることを示しました。また、人間と自然の統合的な幸福を理解、評価し、そして、持続可能な幸福をもたらし、そこに至るために必要な変革を促すことができるような共通な世界観を作り出すことにも取り組んできました。

ブループラネット賞を受賞することで、より良く、より公平で、豊かで持続可能な未来を目指す世界中の人々と協力し、引き続き研究を進める所存です。
・生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム (IPBES)
2024年ブループラネット賞をIPBESがいただくことになり、誠に光栄に存じます。この権威ある賞の栄誉は、専門知識、時間、そして熱意を惜しみなく私たちの活動に注いでくださった世界中の何千人もの科学者や知識保持者のものです。また、揺るぎないご支援をいただいている146の加盟国と、IPBESの使命を遂行する上で不可欠な幅広い関係機関の皆さまにも深く感謝申し上げます。

今回の受賞は、より良い科学、エビデンス、そして行動の選択肢を通じて、生物多様性と自然が人間にもたらす恩恵の保全と回復の重要性が世界的に認められたことを意味します。

旭硝子財団がこの栄誉を与えてくださり、また私たちの取り組みを支援してくださることに深く感謝いたします。この栄誉を励みとして、これからも人と自然のための科学と政策の強化に努めてまいります <本年度(第 33 回)の選考経過>
国内503名、海外847名のノミネーターに推薦書を送り、142件の受賞候補者が推薦されました。候補者の分野は、多い順に生態系39件、環境経済・政策が25件、気象・地球科学22件などでした。候補者は39ヶ国にわたります。

選考委員会による数次の審査をもとに顕彰委員会に諮った後、理事会で、1件はロバート・コスタンザ教授が、もう1件は生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム (IPBES)が受賞者として正式に決定されました。選考委員長からは、「本年の受賞者は2件とも生態系関連の業績ですが、これは偶然の結果で、気候変動問題と同様に、生態系問題への危機意識が世界的に高まっていることの反映ととらえています」とのコメントがありました。 <ブループラネット賞について>
人類が解決を必要としているグローバルな諸問題の中で、最も重要な課題の一つが地球環境の保全です。地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、河川・海洋汚染などの地球環境の悪化は、いずれも私達人間の生活や経済活動が大自然に影響を及ぼした結果です。旭硝子財団は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年(平成4年)に、地球環境問題の解決に向けて著しい貢献をした個人または組織に対して、その業績を称える地球環境国際賞として「ブループラネット賞」を創設いたしました。

賞の名称の「ブループラネット」は人類として初めて宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士ガガーリン氏の言葉「地球は青かった」にちなんで名付けられました。この青い地球が未来にわたり、人類の共有財産として存在しつづけるようにとの祈りがこめられています。











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