広瀬章人九段が丸山忠久九段を159手で破り、準決勝に進出した。次戦は、準決勝第二局で藤井聡太JT杯覇者と佐々木大地七段の勝者と対局予定。
【実施概要】
タ イ ト ル： 「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」 二回戦第三局
日 程： 2024年9月14日（土）
場 所： グランメッセ熊本 展示ホールC・Ｄ（住所：熊本県上益城郡益城町福富1010）
【「JTプロ公式戦」結果】
対 局： 広瀬章人 九段（先手）対 丸山忠久 九段（後手）
結 果： 159手にて広瀬九段の勝ち
【「JTプロ公式戦」今日のハイライト】
広瀬九段、千日手指し直しの大熱戦を制す
振り駒は来場者の中から抽選で選ばれた方が行い、歩が4枚で丸山九段の先手と決まる。予想どおり角換わり腰掛け銀に進行したが、65手で千日手が成立。先後を入れ替えた指し直し局もやはり角換わり腰掛け銀に。先手の広瀬九段が43手目▲4五桂で開戦し、先手▲5六角、後手△4四角で対抗する展開。攻め合いが続く中、丸山九段が徐々に優勢になるが、見落としがあり逆転。広瀬九段が辛くも逃げ切って準決勝進出を決めた。
【対局前日の両者のコメント】
丸山九段「熊本は昔修学旅行で来たことがあります。熊本城とか阿蘇山とか。広瀬九段は終盤の切れ味がすごいという印象です。『JTプロ公式戦』は公開対局で、良い手を指すと『おおー』というお客さんの反応があったり（笑）。そこは、励みになります。多くの人に見てもらっての対局ですので、集中して熱のこもった戦いを見てもらいたいと思います。」
広瀬九段「熊本は大学生の頃、レンタカーを借りて回ったことがあります。玉名市での将棋合宿にも2回ほど来ています。丸山九段は大学の先輩で、得意戦法を極めているという印象があります。同じ出だしからちょっとずつ工夫を加えてこられます。『JTプロ公式戦』では過去1回だけ決勝まで行きましたが、1局でも多く指せるように頑張りたいと思います。」
【勝利棋士 広瀬九段のコメント】
指し直し局の▲4五桂からの仕掛けは研究していた手順です。銀桂交換からの63手目▲2六桂に期待していたのですが、具体的に成果が上げられなかったので、忙しくなってしまいました。108手目△4四歩と指されてみると、あまり思わしい局面ではありません。ただ形勢が苦しい中、粘り強く指すことができたのが良かったのでしょうか。眠っていた馬を129手目▲6六馬とした局面で、勝負になったのは御の字という感じです。最後も逃げ方を間違えると詰みという手順が続きましたが、ギリギリ逃れていて幸いしました。「1局でも多く」という目標を達成できてうれしいですね。次の準決勝は相手もまだ決まっていませんが、どちらが来ても強敵です。いい勝負ができるよう頑張りたいと思います。
【講評】
とにかくすごい将棋でした。予想通りの角換わり腰掛け銀は、早い段階で千日手になりました。先手の丸山九段に何か誤算があったのかもしれません。指し直し局も当然角換わり腰掛け銀です。先手の広瀬九段が43手目▲4五桂と仕掛けましたが、丸山九段が先手の攻めをうまくいなして優勢気味に進行しました。感想戦で丸山九段は「途中勝っていたと思ったのですが、どこかで△6七銀でしたか」と言ってましたが、△1七角成のあたりは優勢を自認していて、やや手に迷いがあったのではないでしょうか。先手は苦しい中、▲1六角で退路をふさいでから、眠っていた馬を7四～8四～6六と活用できて、形勢逆転につなげました。丸山九段も最後まで詰みを狙って、終盤もハラハラドキドキの展開でした。力のこもった大熱戦だったと思います。 畠山 鎮八段談
【投了図】 広瀬 章人 九段（先手）対 丸山 忠久 九段（後手）
※杏は成香のこと
【棋 譜】 広瀬 章人 九段（先手）対 丸山 忠久 九段（後手）
▲２六歩 △３四歩 ▲７六歩 △８四歩 ▲２五歩 △３二金
▲７八金 △８八角成 ▲同 銀 △２二銀 ▲３八銀 △８五歩
▲７七銀 △３三銀 ▲４六歩 △６二銀 ▲３六歩 △６四歩
▲６八玉 △６三銀 ▲１六歩 △１四歩 ▲９六歩 △９四歩
▲３七桂 △４二玉 ▲４七銀 △７四歩 ▲４八金 △５二金
▲２九飛 △７三桂 ▲５六銀 △８一飛 ▲６六歩 △６二金
▲７九玉 △５二玉 ▲８八玉 △４二玉 ▲６七銀 △５四銀
▲４五桂 △２二銀 ▲７五歩 △６三銀 ▲７四歩 △同 銀
▲５六角 △６五歩 ▲同 歩 △４四角 ▲６四歩 △６五桂
▲７六歩 △７三金 ▲６三歩成 △同 金 ▲６六歩 △７七桂成
▲同 桂 △６四歩 ▲２六桂 △５二玉 ▲３四桂 △１三銀
▲１五歩 △同 歩 ▲同 香 △１四歩 ▲２四歩 △同 銀
▲２二歩 △１三桂 ▲２一歩成 △同 飛 ▲１四香 △９五歩
▲同 歩 △９六歩 ▲７五歩 △同 銀 ▲７六歩 △８四銀
▲８三角成 △７三金 ▲８二馬 △９五香 ▲８五桂 △７四金
▲８六歩 △６五歩 ▲１三香不成△６六歩 ▲５六桂 △９七歩成
▲７七玉 △６七歩成 ▲同 玉 △６六歩 ▲５八玉 △１七角成
▲８三馬 △７三歩 ▲２二歩 △７一飛 ▲６四歩 △４四歩
▲１一香成 △４三玉 ▲６三歩成 △４五歩 ▲１九香 △１八歩
▲同 香 △同 馬 ▲７四馬 △３六馬 ▲５九玉 △３四玉
▲３七歩 △２七香 ▲３六歩 △２九香成 ▲１六角 △２五銀
▲８四馬 △４三桂 ▲６六馬 △５五桂打 ▲同 馬 △同 桂
▲３五銀 △３三玉 ▲２五角 △３九飛 ▲４九桂 △１一飛
▲４四桂 △５八香 ▲同 金 △４九飛成 ▲同 玉 △３九成香
▲５九玉 △４九成香 ▲６九玉 △６八歩 ▲同 玉 △６七銀
▲同金左 △同桂成 ▲同 玉 △５五桂 ▲５六玉 △６七銀
▲同 金 △４七角 ▲５五玉 まで159手で先手の勝ち
JTプロ公式戦（二回戦第三局）千日手局
【投了図】 丸山忠久 九段（先手）対 広瀬章人 九段（後手）
【棋 譜】 丸山忠久 九段（先手）対 広瀬章人 九段（後手）
▲２六歩 △８四歩 ▲２五歩 △８五歩 ▲７六歩 △３二金
▲７七角 △３四歩 ▲８八銀 △７七角成 ▲同 銀 △２二銀
▲４八銀 △３三銀 ▲７八金 △６二銀 ▲４六歩 △７四歩
▲４七銀 △７三桂 ▲６八玉 △６四歩 ▲３六歩 △４二玉
▲９六歩 △９四歩 ▲１六歩 △１四歩 ▲３七桂 △６三銀
▲４八金 △８一飛 ▲５六銀 △６二金 ▲６六歩 △５四銀
▲２九飛 △５二玉 ▲６九玉 △４一玉 ▲５八玉 △４二玉
▲４五銀 △５五銀 ▲５六銀 △同 銀 ▲同 歩 △５二玉
▲６八金 △４四歩 ▲５五歩 △６三角 ▲２六飛 △８六銀
▲７八銀 △７七銀成 ▲同 銀 △８六銀 ▲７八銀 △７七銀成
▲同 銀 △８六銀 ▲７八銀 △７七銀成 ▲同 銀
まで65手で千日手
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