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最終更新時刻:17時11分

鉄道地下トンネルの塩害に対する新しい吹付け補修工法の開発と導入について

2024/08/06  東日本旅客鉄道 株式会社 

2024年8月6日

東日本旅客鉄道株式会社
首都圏本部

鉄道地下トンネルの塩害に対する新しい吹付け補修工法の開発と導入について

〇JR東日本首都圏本部東京土木設備技術センターでは、現場第一線における技術開発として、材料メーカーのデンカ株式会社(本社:東京都中央区代表取締役今井俊夫)と共同で、鉄筋コンクリート構造物の新しい吹付け補修工法を開発しました。

〇鉄筋コンクリート構造物の塩害に対する従来の工法と比較して、耐久性を維持しつつ、施工性や付着性を向上させることによって、工期の大幅短縮と工事費の20~30%のコストダウンが可能となりました。

〇鉄道営業線内のメンテナンス工事において、今回開発した工法を導入するのは鉄道業界で初めてです。

1.開発の経緯

海岸に接する地域の鉄道地下トンネルは、鉄筋コンクリートの継目部やひび割れからの塩分を含んだ漏水により、鉄筋腐食に伴う構造耐力の低下などが懸念されます。したがって、定期的なメンテナンスを行っていますが、鉄道営業線内のメンテナンス工事は、短い作業時間(90分程度)や狭い空間、特殊車両(軌陸車)で機材を運搬する必要があるといった制約条件があります。そのため、施工の効率化が期待できる補修材料と工法を開発しました。

2.開発内容

鉄筋の腐食の原因である塩分や水分の浸透を抑制する材料A・補修材の硬化を加速させる材料B・ひび割れを抑制するための短繊維Cを配合した粉体①を新たに開発しました。さらに、粉体と水を混ぜ合わせてポンプで圧送し、ノズル先端で最適な配合量の添加剤②を混ぜ合わせて吹付ける工法を開発しました。

3.開発効果

(1)添加剤をノズル先端で加える方式に変更することによって圧送ホース内の流動性を向上させた結果、約3倍の吹付け量を実現しました。
圧送距離:従来工法20mから新工法80mへ向上
吹付け量(1時間当たりの量):従来工法0.2~0.3m3から新工法0.7m3へ向上
(2)粉体と最適な配合量の添加剤の配合により、硬化を早めたため、最大吹付け厚さが増加しました。
固まり始める時間(凝結始発時間):従来工法48分から22分に短縮
吹付け(側面):従来工法40mmから新工法120mmへ増加

※本工法は当社・デンカ(株)共同で特許出願済み
※国土交通省主催第7回インフラメンテナンス大賞技術開発部門優秀賞受賞

4.導入実績

この工法は、総武快速線(馬喰町~錦糸町駅間)の地下トンネル区間の鉄筋コンクリート壁メンテナンス工事に導入しております。

※画像・イラストは全てイメージです。

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