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最終更新時刻:17時11分

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で初めて発表した抗体薬物複合体DS-9606の固形がん患者を対象とした第1相臨床試験データについて

2024/09/17  第一三共 株式会社 

2024 年 9 月 17 日
報道関係者各位
会社名 第 一 三 共 株 式 会 社
代表者 代 表 取 締 役 社 長 奥 澤 宏 幸
(コード番号 4568 東証プライム市場)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 朝倉 健太郎
TEL 03-6225-1126

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で初めて発表した抗体薬物複合体DS-9606の
固形がん患者を対象とした第1相臨床試験データについて


第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、二つ目の当社独自のADC技術プラットフォームから創製されたDS-9606(CLDN6を標的とした抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)について、進行性固形がん患者を対象とした第1相臨床試験の用量漸増パートにおけるデータを、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2024)において初めて発表しましたので、その概要についてお知らせいたします。

本剤は、抗CLDN6抗体と改変されたピロロベンゾジアゼピン(PBD)で構成され、当社の二つ目のADC技術プラットフォームから創製された最初のADCです。CLDN6は、複数のがんにおいて発現し予後不良と関係していることから、がん治療の有望な標的であると言われています。

本試験は、CLDN6発現の進行性固形がん患者を対象に、本剤の安全性と忍容性および予備的有効性を評価する第1相臨床試験です。用量漸増パートでは、前治療歴のある固形がん患者(卵巣がん、胚細胞がん、胃/食道がん、非小細胞肺がん、膵臓がん、乳がん、子宮内膜がん)53名において、本剤の投与量を段階的に増やしながら安全性と忍容性を評価し、最大耐用量と用量展開パートにおける推奨用量を決定します。

安全性について、本剤の投与量0.016mg/kgから0.225mg/kgにおいて、用量制限毒性は認められませんでした。有害事象の内訳は、皮膚関連が17%と最も多く報告されましたが、その大部分がグレード1でした。グレード*2 3以上の有害事象は30.2%の患者に認められ、貧血(3.8%)、腹痛(3.8%)、胸水貯留(3.8%)等がみられました。

予備的有効性については、客観的奏効*3 は4名(胚細胞がん2名、胃/食道がん1名、非小細胞肺がん1名)に認められました。評価可能な胚細胞がん患者7名のうち、客観的奏効が確認された2名は6ヵ月以上治療を継続し、5名は腫瘍マーカーが90%以上減少しました。

当社は、用量展開パートにおける推奨用量を決定するために患者登録を継続し、今後、本剤の効果が期待できるがん種を特定してまいります。

以 上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます

*3 客観的奏効とは、腫瘍が完全に消失または30%以上縮小した状態です。確定した客観的奏効を意味します。

DS-9606について

DS-9606は、当社の二つ目のADCプラットフォームから創製された、抗CLDN6抗体(東京薬科大学との共同研究)と改変されたピロロベンゾジアゼピン(PBD)から構成されるADCです。CLDN6は、子宮内膜がん、卵巣がん、胃がん、胚細胞がん、非小細胞肺がんを含む複数のがんで発現しているタンパク質の一種で、がんの進行や予後の悪化に関係していると言われています。

第一三共のADCパイプラインについて

第一三共のADCパイプラインは、第一三共独自の二つのADC技術プラットフォームから創製された、臨床開発段階にある7つのADCから構成されています。

一つ目のADCプラットフォームは、がん細胞表面に発現する特定の抗原を標的とした抗体と、複数のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)をリンカーを介して結合させ、がん細胞の内部へDXdを届けるDXd ADC技術で、現在6つのADCがあります。トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ(R)、抗HER2 ADC)およびダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062、抗TROP2 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてアストラゼネカと共同で開発および商業化を進めています。パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402、抗HER3 ADC)、イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300、抗B7-H3ADC)およびDS-6000(R-DXd、抗CDH6 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を

有する日本は除く)においてMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAと共同で開発および商業化を進めています。DS-3939(抗TA-MUC1 ADC)は当社が単独で開発を進めています。

二つ目のADCプラットフォームは、がん細胞表面に発現する特定の抗原を標的とした抗体と、改変されたピロロベンゾジアゼピン(PBD)を結合させ、がん細胞の内部へ改変されたPBDを届けるADC技術です。DS-9606(抗CLDN6 ADC)は、このプラットフォームを活用した最初のADCです。

なお、ダトポタマブ デルクステカン、パトリツマブ デルクステカン、イフィナタマブ デルクステカン、DS6000、DS-3939およびDS-9606は、現在開発中の薬剤です。安全性および有効性はまだ確立されておらず、各国の規制当局による薬事承認は受けていません。

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