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パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402)のEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん二次治療を対象とした第3相臨床試験の結果について

2024/09/17  第一三共 株式会社 

2024 年 9 月 17 日

パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402)のEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん二次治療を対象とした第3相臨床試験の結果について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、EGFR変異を有する局所進行または転移性非小細胞肺がん患者への二次治療を対象としたパトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402、抗HER3抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)の第3相臨床試験(HERTHENA-Lung02、以下「本試験」)において、主要評価項目を達成したことをお知らせいたします。

本試験は、第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤治療後に病勢進行したEGFR変異を有する局所進行または転移性非小細胞肺がん患者586名において、本剤の有効性と安全性を、プラチナ製剤投与群と比較して評価したグローバル第3相臨床試験です。

本試験の主要評価項目である無増悪生存期間*2において、本剤投与群はプラチナ製剤投与群に対し統計学的に有意な改善を示しました。重要な副次評価項目である全生存期間*3については、今回の解析時点において十分なフォローアップ期間に達していなかったため、引き続き評価が継続されます。

安全性については、新たな懸念は認められず、肺がんを対象とした本剤の他の試験と同様の傾向でした。本剤と関連のある間質性肺疾患(ILD)については、大部分が低グレード*4(グレード1および2)でしたが、2名がグレード5(死亡)でした。本試験結果の詳細は、今後、学会にて公表する予定です。

当社は、EGFR変異を有する非小細胞肺がんの二次治療に新たな選択肢を提供できるよう、本試験結果に基づき、次のステップを検討してまいります。

以上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 無増悪生存期間とは、治療中および治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*3 全生存期間とは、原因を問わず死亡するまでの期間です。

*4 米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます。

EGFR変異を有する非小細胞肺がんについて
肺がんは世界で最も一般的ながんであり、がんによる死亡の主な原因となっています。2022年には、全世界で新たに250万人近くが肺がんと診断されました。肺がん全体の約85%を占める非小細胞肺がんは、14~38%がEGFR遺伝子変異を有しているとの報告があります。非小細胞肺がんは、最大70%の患者が進行性と診断され、予後が不良と言われています。

分子標的薬の登場により、EGFR遺伝子変異を有する転移性または局所進行非小細胞肺がんの治療は改善され、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤による治療の有効性が確立された一方、ほとんどの患者は最終的にこれらの治療に対して耐性を獲得するため、新たな治療法が必要とされています。

HER3について
HER3は、細胞増殖と生存に関連するチロシンキナーゼ受容体のEGFRファミリーのひとつです。非小細胞肺がんの約83%に発現しており、がん転移頻度の増加や生存率の低下に関係していると言われています。さらに、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤治療後に病勢進行したEGFR変異を有する腫瘍の約90%にHER3が発現していることが推定されています。現在、非小細胞肺がんを含むあらゆるがん種に対し、HER3を標的として承認されているがん治療薬はありません。

第一三共のADCパイプラインについて
第一三共のADCパイプラインは、第一三共独自の二つのADC技術プラットフォームから創製された、臨床開発段階にある7つのADCから構成されています。

一つ目のADCプラットフォームは、がん細胞表面に発現する特定の抗原を標的とした抗体と、複数のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)をリンカーを介して結合させ、がん細胞の内部へDXdを届けるDXd ADC技術で、現在6つのADCがあります。トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ®、抗HER2 ADC)およびダトポタマブデルクステカン(Dato-DXd/DS-1062、抗TROP2 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてアストラゼネカと共同で開発および商業化を進めています。パトリツマブデルクステカン(HER3-DXd/U3-1402、抗HER3 ADC)、イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300、抗B7-H3 ADC)およびDS-6000(R-DXd、抗CDH6 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAと共同で開発および商業化を進めています。DS-3939(抗TA-MUC1 ADC)は当社が単独で開発を進めています。

二つ目のADCプラットフォームは、がん細胞表面に発現する特定の抗原を標的とした抗体と、改変されたピロロベンゾジアゼピン(PBD)を結合させ、がん細胞の内部へ改変されたPBDを届けるADC技術です。DS-9606(抗CLDN6 ADC)は、このプラットフォームを活用した最初のADCです。 なお、ダトポタマブデルクステカン、パトリツマブ デルクステカン、イフィナタマブ デルクステカン、DS-6000、DS-3939およびDS-9606は、現在開発中の薬剤です。安全性および有効性はまだ確立されておらず、各国の規制当局による薬事承認は受けていません。

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