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最終更新時刻:17時11分

【レガシー業界の事業承継】「日本の缶の文化を未来に繋いでいきたい」創業117年の老舗缶メーカーで36歳の代表取締役が誕生

2023/04/21  側島製罐 株式会社 

老舗の下請け缶メーカーにて、現代表が70歳を迎えるにあたって六代目となる長男が代表取締役に就任。苦境に立たされる下請けBtoBメーカーが経営理念から見直し、新たな挑戦をはじめます。

創業117年の側島製罐株式会社(愛知県海部郡)は、2023年4月21日付で代表取締役を交代します。明治39年に創業した側島製罐は、お菓子や乾物などの缶を製造するBtoBの缶メーカーとして100年以上その使命を全うしてきましたが、直近では20年間連続で売上が減少し続けるなど苦境に立たされており、2019年のコロナ禍に入る直前の業績は年商が20年前の1/3、大幅赤字で存続も危ぶまれる状況でした。 しかし、2020年4月に今回代表取締役に就任した石川貴也が入社したことを機に会社が大きく変わります。古い慣習が残り、理念や社是すらもなかった下請け企業での改革プロセスは困難を極めましたが、それでも会社のスタッフ全員と「世界にcanを」「宝物を託される人になろう」というミッション・ビジョンを策定したことを起点に、デジタル化、デザインへの投資、新規事業等の取り組みを通じて、売上の回復(対前年比132%)や従業者数の増加(対前々年比135%)を実現。今回の代表取締役就任を機に、これまで以上に既成概念にとらわれない新たな価値づくりに挑戦し、”老舗ベンチャー”として缶の文化を未来に繋いでいきます。



側島製罐株式会社は2023年4月21日付で、代表取締役社長の石川博章が退任して新たに取締役会長に就任、新たな代表取締役には石川貴也が就任することになりました。今後は、製缶メーカーとしての缶の安定供給を軸にしつつ、”下請け中小企業”というイメージを覆すべくこれまで世の中になかった価値をつくる老舗ベンチャーとして新たな歴史をつくっていきます。







親子間の念書の取り交わしから始まった事業承継


一般的に製造業での親族間の事業承継というものは、製造や営業などの現場経験という下積みの期間を経たうえで段階を踏んで後継者がステップアップしていくケースが多いですが、側島製罐では当時の状況も鑑み、後継者が全社横断的な改革をする決断をしました。2020年4月に事業承継を開始する前には親子間で念書を取り交わし、中小企業の改革で障壁となりがちな親子間の軋轢を回避する方策を取りました。

(参考記事)
事業承継で父親と交わした念書について
https://note.com/lwitbr1906/n/nd4de4cdfec21



「それでも缶が大好きな人」が集まって事業をつくる、100年企業の第二創業期



側製罐株式会社は、一般缶と呼ばれる乾物やお菓子等を入れる缶を製造しているメーカーです。これまではお中元やお歳暮などの需要が多く、長年安定した受注を確保することができていましたが、2000年に年商約15億円を達成したのをピークに、中国製品の台頭や原材料の高騰、代替品の普及などの影響を受け、それ以降は20年間連続で売り上げは減少、2020年には年商が5億円を割り込む事態に。製缶業界全体でも総じて需要は後退傾向、缶の材料となる製鉄量も減少しており、缶の安定供給も危惧される状況にあります。 「言われたものを言われた通りつくっているだけでは、日本から缶の文化が失われてしまう」という危機感の下、側島製罐では、2021年に全社プロジェクトを始動。理念や社是すらなかった会社でしたが、100年以上続けてきた缶メーカーとしての想いの結晶を言語化し、「世界にcanを」「宝物を託される人になろう」という理念を新たに策定しました。その言葉を軸にデザインへの投資や新規事業、缶の魅力の発信等の取組を進めてきた結果、この想いや取り組みに共感した仲間が続々と集まり、結果として2022年には売上の回復(対前年比132%)や従業者数の増加(対前々年比135%)を実現しました。 側島製罐では今回の代表者交代を第二創業期と定めます。まずは缶の安定供給を通じて「大事なものは缶に入れる」という文化を未来に繋いでいくことを軸にしつつ、”老舗ベンチャー企業”として中小企業の新たな在り方を追求し、自らの手で世の中に新しい価値をつくれるような会社を目指していきます。
新旧代表あいさつ


▶新代表・石川貴也のコメント

70歳の父の誕生日にバトンを引き継げたことを嬉しく思います!今回の事業承継を機に「社長」という立場の人を社内から無くしました。第二創業期の側島製罐では、これまでの中小企業のイメージを覆すべく上意下達の仕組みを無くし、挑戦を自律的に楽しめる会社にしていきます。そして、どうしたらお客様に喜んでいただけるか、世の中がもっと良くなるか、社会にとって価値があることだけに全員がフォーカスして、みんなで楽しくやっていきたいと思ってます。 (プロフィール) 1986年愛知県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、2011年に日本政策金融公庫へ入社。2018~2019年には出向で内閣官房まちひとしごと創生本部事務局にて参事官補佐として「プロフェッショナル人材事業」や「地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』」などの地方創生政策を担当。その後、日本政策金融公庫国民生活事業本部の事業企画部を経て、2020年4月に側島製罐株式会社に入社。PRTIMES社が主催するプレスリリースアワード2022にて「インフルエンス賞」、デジタルハリウッド社が主催するDrone Movie Contest 2022にてバーチャル工場見学ツアーが「審査員特別賞」を受賞。 ▶前代表・石川博章のコメント

無事に事業を引き継ぐことができてホッとしています。自分も70歳になったので一線は退いて、若い人たちに任せていきたいと思います。新代表を皆さんよろしくお願いします。自分も引き続き、会長として陰ながらアドバイスやサポートに努めていきます。缶はリサイクル率が90%を超えるとても良い商材です。ぜひ、これからもたくさん缶を使ってください。 (プロフィール) 1953年愛知県生まれ、成城大学経済学部卒業後、2年間の修行期間を経て側島製罐株式会社へ入社。その後、2006年に代表取締役社長に就任。全日本一般缶工業協同組合の理事も歴任。今回の事業承継で側島製罐株式会社の取締役会長に就任。趣味はお菓子づくりとピアノで、毎週レッスンに通っている。

側島製罐株式会社について



社名:側島製罐株式会社所在地:愛知県海部郡大治町西条字附田89代表者:石川貴也事業内容:一般缶の製造販売・プレス加工資本金:4,900万円従業者数:42人創業:1906年4月法人設立:1942年7月28日ホームページ:https://sobajima.jp/



過去のメディア掲載などはこちら https://sobajima.jp/news/

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