B2BCH_ONE
B2BCH_TWO
最終更新時刻:17時11分

イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300)の小細胞肺がん患者を対象とした第3相臨床試験の開始について

2024/08/02  第一三共 株式会社 

2024 年8月2日
第 一 三 共 株 式 会 社

イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300)の小細胞肺がん患者を対象とした 第3相臨床試験の開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS7300、抗B7-H3抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)の、再発小細胞肺がん患者を対象とした第3相臨床試験(IDeate-Lung02)において、最初の患者への投与を開始しましたので、お知らせいたします。

本試験は、化学療法による前治療歴のある再発小細胞肺がん患者を対象として、本剤投与群の有効性および安全性を、治験医師選択薬(化学療法)投与群と比較し評価するグローバル第3相臨床試験です。主要評価項目は客観的奏効率*2と全生存期間*3で、副次評価項目には無増悪生存期間*4、奏効期間*5、病勢コントロール率*6および安全性等が含まれます。日本を含むアジア、欧州、オセアニア、北米および南米において約460名の患者を登録する予定です。

なお、本試験の開始は、世界肺がん学会(WCLC 2023)で発表した、本剤の第1/2相臨床試験(IDeatePanTumor01)における複数の前治療を受けた小細胞肺がん患者を対象としたサブグループ解析の最新の結果に基づくものです。

当社は、小細胞肺がん患者さんに新たな治療の選択肢を提供するため、本試験を通じて本剤の価値を評価してまいります。

以 上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上縮小した患者の割合です。

*3 全生存期間とは、原因を問わず死亡するまでの期間です。

*4 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*5 奏効期間とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上縮小(部分奏効)のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*6 病勢コントロール率とは、客観的奏効率に腫瘍が安定している状態(腫瘍が30%未満縮小~20%未満増大)の患者の割合を加えたものです。

小細胞肺がんについて

2022年に世界で新たに248万人以上が肺がんと診断されました。小細胞肺がんは、肺がんの中で2番目に多く、約15%の割合を占めています。小細胞肺がんは進行が早く、再発した場合の5年生存率は約3%と報告されています。現在、小細胞肺がん患者に対する二次治療の選択肢は限られており、新たな治療法が必要とされています。

イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300)について

I-DXd/DS-7300は、当社独自のリンカーを介して新規のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)を自社創製した抗B7-H3抗体に結合させた薬剤で、当社で臨床開発を進めている6つのDXd ADCのうちの1つです。1つの抗体につき約4個のDXdが結合しています。B7-H3は、小細胞肺がんを含む様々ながん種において過剰発現しているタンパク質の一種で、がんの進行や予後の悪化に関係していると言われています。現在、小細胞肺がんを含むあらゆるがん種に対し、B7-H3を標的として承認されている治療薬はありません。

第一三共のDXd ADCパイプラインについて

第一三共のパイプラインには、現在、6つのDXd ADCが様々ながん種を対象とした臨床開発段階にあります。これらの薬剤は、がん細胞表面に発現する特定の抗原を標的とした抗体と、複数のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)をリンカーを介して結合させ、がん細胞の内部へDXdを届ける第一三共独自のDXd ADC技術を活用して創製されました。

トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ(R)、抗HER2 ADC)及びダトポタマブ デルクステカン(DatoDXd/DS-1062、抗TROP2 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてアストラゼネカと共同で開発及び商業化を進めています。パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402、抗HER3 ADC)、イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300、抗B7-H3 ADC)及びDS-6000(R-DXd、抗CDH6 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAと共同で開発及び商業化を進めています。DS-3939(抗TA-MUC1 ADC)は当社が単独で開発を進めています。

なお、ダトポタマブ デルクステカン、パトリツマブ デルクステカン、イフィナタマブ デルクステカン、DS6000及びDS-3939は現在開発中の薬剤です。各国の規制当局による薬事承認は受けておらず、安全性及び有効性はまだ確立されておりません。

関連業界