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トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201)の化学療法未治療のHER2低発現またはHER2超低発現の乳がんに対する米国食品医薬品局による「画期的治療薬」指定について

2024/08/19  第一三共 株式会社 

2024年8月19日

第一三共株式会社

トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201)の化学療法未治療のHER2低発現またはHER2超低発現の乳がんに対する米国食品医薬品局による「画期的治療薬」指定について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、トラスツズマブデルクステカン(T-DXd/DS-8201、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)が、米国食品医薬品局(FDA)より、化学療法未治療のホルモン受容体(以下「HR」)陽性かつHER2低発現(IHC1+またはIHC2+/ISH-)またはHER2超低発現*2(IHC01+)の転移再発乳がん治療を対象として、「画期的治療薬(BreakthroughTherapy)」指定*3を受けたことをお知らせいたします。

今回の「画期的治療薬」指定は、2024年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)で発表された、HR陽性かつHER2低発現(HER2超低発現を含む)の化学療法未治療の転移再発乳がん患者を対象としたグローバル第3相臨床試験(DESTINY-Breast06)の結果に基づくものです。

今回の指定により、本剤の「画期的治療薬」指定は8つとなりました。乳がんにおいては、HER2陽性の再発・転移性乳がんの三次治療、HER2陽性の再発・転移性乳がんの二次治療、化学療法既治療のHER2低発現の再発・転移性乳がん治療に続いて4つ目の指定となります。その他、HER2陽性の再発・転移性胃がん治療、HER2遺伝子変異を有する転移性非小細胞肺がん治療、HER2陽性の切除不能な進行・再発大腸がん治療および前治療歴のあるHER2陽性(IHC3+)の転移性固形がん(胆道がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、膵臓がんおよび希少がん)治療を対象に指定を受けています。

当社は、化学療法未治療のHR陽性かつHER2低発現またはHER2超低発現乳がん患者さんへ本剤を速やかにお届けできるよう、各国・地域での承認申請手続を進めております。

以上

*1抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2HER2超低発現とは、HER2が極めて低いレベルで発現している状態(膜染色を認めるIHC 0(IHC01+))です。

*3「画期的治療薬」指定とは、重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者さんにより早く新薬を届けるために定められた制度です。

乳がんとHER2発現について乳がんは、がんによる死亡の主な原因の1つであり、2022年には全世界で新たに200万人以上が診断され、約67万人が亡くなったとの報告があります。米国では、年間30万人以上が乳がんと診断されています。HER2は、乳がん、胃がん、肺がんや大腸がんを含む多くのがん細胞表面に発現するタンパク質です。これまで、HER2陽性でない場合はHER2陰性と分類されてきましたが、これらの腫瘍の多くはHER2が一定レベルで発現しています。HR陽性かつHER2陰性の乳がんにおいては、約60~65%にHER2低発現、約25%にHER2超低発現がみられるとの報告があります。

HR陽性の転移性再発乳がんの初期治療には内分泌療法が広く用いられています。内分泌療法後にがんが進行すると、標準治療である化学療法が行われますが、その治療効果は限定的であり、新たな治療の選択肢が必要とされています。

化学療法歴のあるHER2低発現の転移性乳がんを対象としてトラスツズマブデルクステカンが承認される以前は、HER2低発現の患者を対象に承認された治療薬はありませんでした。現在、HER2超低発現の患者を対象として承認された治療薬はありません。

第一三共のDXd ADCパイプラインについて
第一三共のパイプラインには、現在、6つのDXdADCが様々ながん種を対象とした臨床開発段階にあります。これらの薬剤は、がん細胞表面に発現する特定の抗原を標的とした抗体と、複数のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)をリンカーを介して結合させ、がん細胞の内部へDXdを届ける第一三共独自のDXdADC技術を活用して創製されました。

トラスツズマブデルクステカン(エンハーツ®、抗HER2ADC)及びダトポタマブデルクステカン(Dato-DXd/DS-1062、抗TROP2ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてアストラゼネカと共同で開発及び商業化を進めています。パトリツマブデルクステカン(HER3-DXd/U3-1402、抗HER3ADC)、イフィナタマブデルクステカン(I-DXd/DS-7300、抗B7-H3ADC)及びDS-6000(R-DXd、抗CDH6ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてMerck&Co.,Inc.,Rahway,NJ,USAと共同で開発及び商業化を進めています。DS-3939(抗TA-MUC1ADC)は当社が単独で開発を進めています。

なお、ダトポタマブデルクステカン、パトリツマブデルクステカン、イフィナタマブデルクステカン、DS-6000及びDS-3939は現在開発中の薬剤です。安全性及び有効性はまだ確立されておらず、各国の規制当局による薬事承認は受けていません。

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