長崎歴史文化博物館では、今夏も河童忌にあわせ、芥川龍之介筆「河童図屏風」を公開します。
昭和2年(1927)7月24日は芥川龍之介の命日であり、最晩年の作品『河童』に因んで「河童忌」と呼ばれています。芥川は古典や英文学、時代物にも造詣が深く、東京大学在学中に夏目漱石からその文才を高く評価されました。晩年は懊悩たる思いを抱え、36歳という若さで自らの命を絶ちますが、大正期文壇の寵児として多くの作品を残しています。
芥川は南蛮紅毛に関する資料収集のため、菊池寛と共に大正8年(1919)に初めて長崎を訪れ、大正11年(1922)にもふたたび来崎しています。のちに芥川の弟子となり、長崎の郷土史家として大成する渡辺庫輔や、実業家であり文化人でもある永見徳太郎らと深い交友を結びました。芥川が永見から紹介されたお若さん(後の料亭「菊本」の女将・杉本わか)のために描いたのが「河童図屏風」です。
この屏風をはじめ、芥川が永見に送った書簡や、料亭菊本に所蔵されていた資料を展示公開します。
展示期間 2024年7月17日(水)~8月18日(日)※8月5日(月)休館
展示会場 2階常設展示室 歴史文化展示ゾーン「近代化の魁・長崎」コーナー
時 間 8:30~19:00(最終入館18:30)
観覧料 常設展観覧料でご覧いただけます(大人630円、小中高生310円)
※県内小中学生、長崎れきぶん友の会、キャンパスメンバーズは無料
芥川龍之介「河童図屏風」
「河童図屏風」芥川龍之介
大正11年(1922)
芥川が長崎再遊の折に描いた作品。
橋の上ゆ胡瓜なぐれば 水
ひびき すなわち見ゆる
かぶろのあたま
お若さんのために
我鬼(芥川の俳号)
と記されています。料亭「菊本」の女将・杉本わかへの贈り物として描かれました。
永井荷風「菊茂登」
書額「菊茂登」永井荷風
昭和10年(1935)
「菊茂登」とは、芥川龍之介が思いを寄せる杉本わかが開いた料亭「菊本」のことです。本書は当時の長崎図書館館長の増田廉吉を通じて永井荷風に依頼され、揮毫されました。
河童供養帖
河童供養帖
昭和9~42年(1934~67)
芥川を偲んで料亭「菊本」を訪れた文化人は、芳名帳にサインを残しています。
全11冊の芳名帳は「河童供養帖」と呼ばれ、芥川比呂志・也寸志、菊池寛、高浜虚子など芥川と交流のあった人々の名前も見られます。
長崎歴史文化博物館
長崎の海外交流史をテーマに貴重な歴史資料や美術作品を展示。江戸時代には長崎奉行所があり、敷地内にその一部も復元。歴史を楽しく学ぶゾーンや多彩な企画展・イベントも充実!
所在地:〒850-0007 長崎県長崎市立山1丁目1番1号
連絡先:TEL 095-818-8366
FAX 095-818-8407
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