・一般の人の45.2%が、最も身近な精神疾患であるうつ病の症状をよく理解していない
・精神疾患に関する情報入手に自信を持つ人は、一般の人で20.7%、患者さんでも37.1%に留まる
・自分が精神疾患になった場合に、4人に一人は「誰にも言わない」と回答。専門家への助けを求める人は、患者さんで6割、一般の人で5割に留まる。
・「世界メンタルヘルスデー」の認知は、一般の人で12.8%、患者さんで18.0%
精神・神経疾患領域に特化したデンマークに本社を置くグローバル製薬企業であるルンドベック・ジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:クリストファー・ダール、以下「ルンドベック・ジャパン」)は、世界精神保健連盟が定める世界メンタルヘルスデー(10月10日)に先立ち、精神疾患で6か月以上の通院経験のある患者さんと通院経験のない一般の人の各500人、合計1,000人を対象に、メンタルヘルスに関するリテラシー(知識や認識)を測るインターネット調査を行いました。
調査の結果、患者さんのほうが一般の人よりメンタルヘルスのリテラシーが高い傾向にあるものの、総じて精神疾患の症状理解や情報入手への自信は低く、重症化を防ぐための早期介入、早期受診につなげるためにもメンタルヘルスに関するリテラシー向上は重要な課題であることが明らかとなりました。
本調査の監修者であり、臨床精神医学、自殺学がご専門の一般社団法人 日本うつ病センター 副理事長、六番町メンタルクリニック 院長/帝京大学医学部附属溝口病院精神科 客員教授の張 賢徳先生は、今回の調査結果について、「本調査は、メンタルヘルスのリテラシーを問う国際的な尺度である「メンタルヘルスリテラシー尺度(MHLS)」を使用して、広く日本の患者さんと一般の人を対象に実施した調査となります。今回の調査結果を通して明らかになった精神疾患の症状、相談窓口の認知・理解の低さや専門家・周囲へ相談することに対する躊躇は、臨床現場でも同様の傾向が伺え、日本においてメンタルヘルスに関するリテラシー向上の必要性を強く感じます。特に、公的な相談窓口の認知が患者さんであっても約5割に留まり、多くの人が情報の入手に自信がない現状は、早期介入の遅れによる重症化につながる可能性があり、リテラシーを高める継続的な啓発活動が重要であると考えます」 と述べています。
ルンドベック・ジャパンでは、世界メンタルヘルスデーをきっかけに多くの人がメンタルヘルスについて考える機会を提供できるよう、このような日本におけるメンタルヘルスに関する調査を継続的に実施するとともに、10月10日には、さまざまな啓発活動に取り組んでまいります(別紙参照)。
【調査ハイライト】
1.主な精神疾患8種の認知度の平均は、患者さん60.6%に対して一般の人は38.9%
主な精神疾患8種についての認知は、患者さんが平均60.6%であるのに対し、一般では38.9%と低い傾向。うつ病の認知度は一般の人・患者さんとも9割を超える一方で、一般の人のうつ病を除く精神疾患認知度は19.6%~51.0%と低く、うつ病に限らず様々な精神疾患全般への認知を高める必要性が浮き彫りとなった。
2.一般の人の45.2%が、最も身近な精神疾患であるうつ病の症状をよく理解していない
うつ病の認知が一般の人・患者さんとも高い一方で、一般の人はうつ病の症状を理解していない人が45.2%であった。疾患名の認知はあっても、具体的な症状の理解には至っていない方が多いことが明らかになった。
3.精神疾患に関する情報入手に自信を持つ人は、一般で20.7%、患者さんでも37.1%に留まる
情報入手に関する設問のうち、そもそも「どこで情報を探せばよいか」について自信を持つ人が、一般および患者さんとも最も低い結果であった。情報を容易に入手できる環境が整っていない可能性が示唆された。
4.患者さんであっても公的な相談窓口の認知は約5割に留まる
公的なメンタルヘルスの相談窓口として、保健所の認知は、患者さん、一般の人それぞれ52.8%、40.8%、精神保健福祉センターの認知は、患者さん、一般の人それぞれ47.6%、29.2%であった。
5.自分が精神疾患になった場合に、4人に一人は「誰にも言わない」と回答。専門家への助けを求める人は、患者さんで6割、一般の人で5割に留まる。
精神疾患になった場合、「誰にも言わないと思う」と答えた人は約4人に一人。「どちらとも言えない」と答えた人は、患者さん37.6%、一般の人48.0%。周囲に話すことについての何らかの障壁があると推察される。
また、精神疾患になった場合に専門家のサポートを求めることについて、一般の人の44.0%が「どちらとも言えない」と回答しており、受診への躊躇が見受けられる。
精神疾患も他疾患と同様に重症化させないためには早期介入が重要である。未知からくる偏見(スティグマ)をなくし、精神疾患の症状に気づいた際には、早期に受診するような知識の向上が求められる。
6.「世界メンタルヘルスデー」の認知度は、一般の人で12.8%、患者さんで18.0%
世界メンタルヘルスデーについては、10人に一人しかこの記念日の名称を認知していないことが明らかになった。今後は、記念日の趣旨である「メンタルヘルス問題に関する偏見を無くし、正しい知識の普及を目的とした記念日であること」の理解が社会に浸透していくことが期待される。
・調査概要
調査手法 : オンライン定量調査 (実査委託先:楽天インサイト株式会社)
調査地域 : 全国 (割り付けなし)
対象者 : 10代(15歳~)~60代の男女 1000人
年代・性別均等割り付け(各50人に達したところで調査終了)
A. 不安症、うつ病、躁病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症
のいずれかで、6ヶ月以上の通院経験がある患者 500人
B. 精神疾患での通院経験がない一般生活者 500人
実査日程 : 2022年7月15日(金)~18日(月)
設問および結果 :調査全文をご要望の報道関係者は別途お問い合わせをお願いします
メンタルヘルスリテラシー尺度とは(1),(2),(3)
メンタルヘルスリテラシー尺度(MHLS)は、メンタルヘルスに関するリテラシーを評価する国際的に検証された尺度で、「障害を認識する能力」や「メンタルヘルス情報の求め方」など、6つの因子を分析するものです。オーストラリアで開発された尺度ですが、世界各国で用いられ、日本においても検証されています。本調査は、下記論文を引用して作成しました。
(1) Moeka Ikeyama, Kotaro Imamura, Norito Kawakami (2022). Reliability and validity of the Japanese version of the Mental Health Literacy Scale (MHLS) among undergraduate and graduate students in the medical field.
(2)
https://plaza.umin.ac.jp/heart/archives/MHLS.shtml
(3)
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.02.01.22269195v1
世界メンタルヘルスデー(World Mental Health Day)について
世界メンタルヘルスデーは、1992年に世界精神保健連盟によって制定され、世界全体でメンタルヘルス(精神的健康)への認識を高め、偏見をなくすことを目的として定められています。また、統一された声で、行動を起こし持続的な変化を生み出すことによって、希望を持つことのできる社会の醸成を目的としています。現在では、世界保健機関(WHO)が定めた「世界メンタルヘルスデー」として、10月10日に世界60カ国以上で啓発活動が行われています。
詳しい情報は、
https://wmhdofficial.com/ をご覧ください。
ルンドベック(H.Lundbeck A/S) について
ルンドベックは精神・神経疾患に特化したグローバル製薬企業です。 70年以上にわたり精神・神経科学研究の最前線に立ち、日々すべての人が最善の状態になれることを目指して、ルンドベックの存在意義である脳の健康を回復することに注力しています。
世界で推定7億人を超える人々が精神・神経疾患を抱えて暮らしています。そしてあまりにも多くの人々が適切な治療を受けていない、偏見にさらされている、勤務日数が減少する、早期退職をせざるをえないなどの状況に苦しんでいます。
私たちルンドベックは日々、精神・神経疾患を患っている人々の治療の向上と、より良い生活のために努力を惜しみません。ルンドベックに関する詳しい情報は、 www.lundbeck.com をご覧ください。
ルンドベック・ジャパン について
ルンドベック・ジャパンは、2001年に日本法人を設立、2019年にトリンテリックス(R)のコ・プロモーションのため、コマーシャル本部を構築し営業活動を開始いたしました。精神・神経疾患領域に特化した製薬企業として、グローバルで蓄積した豊富な知識と知見をもとに、日本においても患者さんの治療向上とより良い生活に貢献するために取り組んでいます。ルンドベック・ジャパンに関する詳しい情報は、 www.lundbeck.co.jp をご覧ください。
【プレスリリースはこちらのPDF版でもご覧になれます。 】