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シェアハウス以外の投資用不動産向け融資についての当社対応状況

2024/07/01  スルガ銀行 株式会社 

2024 年 7 月 1 日
スルガ銀行

シェアハウス以外の投資用不動産向け融資についての当社対応状況

[はじめに]

シェアハウス以外の投資用不動産向け融資に係る組織的交渉(以下「アパマン問題」といいます。)について、当社は一日でも早い問題解決を強く希望しており、その実現に向けた3 つの方針を、2023 年 4 月に公表しました。3 つの方針とは、①早期解決案の提示、②任意売却支援等による債務者負担の軽減、および③個別案件に応じた判断です。

これら3つの方針に沿った当社対応状況について、以下の通りご説明します。

[アパマン問題の全体像]

当社は、2019 年 5 月に「投資用不動産に係る全件調査結果(以下「全件調査」といいます。)を公表し1、当社の不動産投資関連融資における問題の全容を明らかにしております。

その全件調査において、投資用不動産融資総物件数(シェアハウスを含む、37,907 物件)のうち約 2 割について審査書類の改ざん・偽造等の不正が発見されたことを踏まえ、これらの債務の元本一部カット等の踏み込んだ返済支援やご相談を行ってまいりました。

現在(2024 年 5 月末時点)、スルガ銀行不正融資被害弁護団(以下「SI 被害弁護団」といいます。)等を通じて当社との間で組織的交渉が行われている件数は 8282物件(37,907 物件のうち 2.2%)ですが、これら物件の債務者(以下「組織的交渉先債務者」といいます。)は、当社に対する元利支払を長期間止め、対象不動産から得ている家賃収入を自ら留保している場合もあります。当社は、これらの債務については適切に引当金を計上することによって、財務健全性を担保しており、そのカバー率3は 99.54%です。

 参考資料 1:投資用不動産融資・組織的交渉先の状況およびカバー率

[①早期解決案の提示]

第一の方針である「早期解決案の提示」について、当社は SI 被害弁護団に対して「早期解決フレームワーク」を 2022 年 5 月に提案しました。この「早期解決フレームワーク」では、第一段階として、「いわゆる高値掴み4の問題が発生したか」、第二段階として「債務者に提示されたレントロール改ざんにスルガ銀行・行員が関与した可能性が高いか否か」、第三段階で「損害額・帰責割合等に応じた解決金の算定等」を検討することを提案しました。この協議は、現在第三段階まで進んでおります。

しかし、SI 被害弁護団が調停申立をしてから約 2 年半経過5した現在においても、基本的な点において未だ見解の相違が存在している状況です。例えば、当社は「個別案件に応じた判断の必要性6」を主張していますが、SI 被害弁護団からは実質的な一律解決と同様の要請がなされており、ご理解が得られていない状況と認識しています。

当社は今後も裁判所を交えた交渉にできる限り真摯に対応すると共に、両者の見解の相違が長期に亘って解消しない状況を踏まえ、「具体的な検討を進めていない個別案件についても、当社提案のフレームワークに沿って早期解決を図りたい債務者については、必要な情報提供を頂きたい」旨の当社提案を、SI 被害弁護団にお伝えしています。

これらの取組みを通じ、「当社の損害賠償責任が訴訟でも認定される可能性が高いと考えられる類型に該当する案件については、当社も積極的に融資経緯等の解明に協力する」との姿勢を当社は継続しており、個々の案件の状況に応じ、一日も早い問題解決を図ってまいりたいと考えております。

[②任意売却支援等による債務者負担の軽減]

第二の方針である「任意売却支援等による債務者負担の軽減」については、様々なご提案・ご相談を通じ、任意売却支援策を適用して物件売却に至るケースも出ております。なお、後述の組織的交渉先債務者宛ご案内文書(参考資料 2)にも記載の通り、任意売却代金を充当しても借入金返済に不足するケースについては、売却代金等充当後7の返済計画作成などについてのご相談や踏み込んだご支援を、個別案件の状況に応じてご提案させて頂いています。

[③個別案件に応じた判断]

第三の方針については、「個別案件に応じた判断」が必要な例として、いわゆる「収支黒字物件」等に対する当社の考え方を、2023 年 11 月公表の資料で、以下の通り説明させていただきました。

 収支黒字物件とは、当社との借入金契約通りに約定返済を継続してもプラスの「不動産収益」が確保できる可能性が高い物件であり、原則として、長期間に亘って債務支払を停止する正当な理由はないと考えています。

 ここで言う「不動産収益8」ですが、対象不動産からの家賃収入の 3 割相当を必要経費とみなし、その必要経費と借入金支払(当社への金利および約定返済)を差し引いた金額のことを指します。なお、必要経費については、管理手数料や共用部の水道光熱費、固定資産税・都市計画税、退去時の原状回復費用などを含んだ一棟アパートに係る経費率は、一般的には 15~20%程度と言われていますが、当社試算においては経費率 30%とみなし、「不動産収益」を試算しています。

今年 4 月公表の資料でご説明の通り、当社は、これら収支黒字物件等を所有している債務者に対して、「約定返済の再開」や「物件任意売却による返済負担軽減のご検討」および「約定返済が困難な特別のご事情がある場合には当社へのご連絡」をお願いする文書を作成しており、今年 3 月より順次ご案内しています。

さらに、上記収支黒字物件だけでなく、債務者からご提供があった資料により不動産収益が赤字と推定される物件についても、「物件任意売却による返済負担軽減」に加え、「約定金利の引下げ等による不動産収支黒字化」による約定返済再開に向けたご相談を承る旨を、今年 5 月より順次ご案内しています。

 参考資料 2:「金利引下げ等のご相談」を含むご案内文書のひな型(例)

また、その他のケース、例えば、当社が試算した不動産収益に勘案されていない特別なご事情(例:物件修繕費用が嵩んだ等)がある場合や、収支黒字もしくは赤字のいずれにあてはまるか不明な場合等のお問合わせやご相談を承る旨も、文書にてご案内しています。

このように、個別ご事情に応じたご返済相談、および物件の収支状況を問わず当社として最大限のご返済負担軽減策をご提案し、アパマン問題の早期解決に当社が精一杯努めておりますことについて、ご理解を賜れますと幸いです。

一方、これらのご提案にも関わらず、ご返済の再開に向けたコミュニケーションに応じて頂けない場合、法令に定められた原則論に立ち返り、「銀行として、長期間に亘って債務支払を停止することを許容することは極めて困難」との当社主張を申し立てざるを得ないと考えております。

[今後の対応について]

当社は、2023 年 4 月に公表した3つの方針に沿って、引き続き全力で早期解決を図っていきます。

特に、第二の方針である「任意売却支援等による債務者負担の軽減」は、借入金返済に苦しむ組織的交渉先債務者のご負担軽減が喫緊の課題であること、また、今後の不動産市況によっては想定通りの売却代金に達しないリスクがあること等から、速やかな取組みが不可欠であると考えています。

このため、当社では、組織的交渉先債務者の皆さまに対し、当社として可能な最大限の支援メニューのご提案を行っています。速やかに債務負担を軽減頂き、返済計画作成などのご相談を申し上げ、個々案件の問題を解決する道筋をつけることで、多くの組織的交渉先債務者の皆さまに一日でも早くご安堵頂けますよう、当社は全力で努めてまいります。

以 上

1 https://www.surugabank.co.jp/surugabank/kojin/topics/pdf/190515_4_a.pdf

2 任意売却等により 2022 年 9 月末から今年 5 月末までに 100 物件が組織的交渉先から外れました。

3 2024 年 3 月末時点の数値を記載しています。

4 ここでいう「高値掴み」とは、大要、改ざんされたレントロールによって本来より高い収益性を有する物件であるとの「錯誤」に陥り、その結果「錯誤」がなかった場合よりも高い価格で当該物件を購入することを指します。

5 2022 年 2 月に SI 被害弁護団が東京地裁に調停申立をし、裁判所を交えた交渉だけでもこれまでに 18 回行われました6「個別案件に応じた判断」が必要と当社が考える主な理由(2023 年 4 月公表の資料要約):

①全件調査結果においても、アパマン融資の約 8 割で不正は認められておらず、全案件で当社の不法行為が成立することを前提にはできないこと、②個別案件によって関係当事者の状況が異なること(という報道があったが、というケースや、といったケースもあること)、③これまで個別訴訟や和解等を行った債務者との公平性(既に、個別事情に応じての司法判断や和解等が成立している中、それら案件との公平性の観点から、一律解決を当社が選択することは困難であること)

7 なお、対象不動産から得ている家賃収入を自ら留保して当社に対する返済を止めている組織的交渉先債務者の場合には、その留保した金額の 7 割程度(適正な必要経費控除後の金額)を、ご返済資金に加えて頂くよう要請しています。

8 「不動産収益」の定義についてご質問があったことから、以前の開示内容をさらに敷衍した説明を追加しました。

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