本アワードの受賞を記念し、フランス・アルルのサル・アンリ・コントにて日本人写真家、石内都の個展をKYOTOGRAPHIEとのコラボレーションにより開催します。
また、日本に焦点を当てた今年のアルル国際写真フェスティバルでは、石内都の個展に加え
2つの展覧会が開催されます。一つは、ケリングと同フェスティバルが、「ウーマン・イン・モーション」ラボの取り組みを通じてアルシュヴェシェ宮殿にて同時開催する日本人女性写真家のグループ展「I’m So Happy You Are Here」、そして、ケリングが支援するKYOTOGRAPHIEによる「Transcendence」展です。
さらに、「ウーマン・イン・モーション」は新進気鋭の女性写真家を称えるマダム・フィガロ・フォトグラフィー・アワードへの支援を続けます。
2024年「ウーマン・イン・モーション」フォトグラフィー・アワードは石内都が受賞
2024年7月2日(火)、ケリングとアルル国際写真フェスティバルは、アルルの古代劇場にて、日本人写真家の石内都に「ウーマン・イン・モーション」フォトグラフィー・アワードを授与します。この特別な夜に、石内都は作品を紹介しながら、彼女の歩んできたキャリアや、写真と社会全般における女性の地位についての考えを観客のみなさまと共有する予定です。
女性というテーマは、石内の作品に繊細かつ力強く浸透しているものです。石内は、女性の身体を芸術の主題として取り戻すことで、女性の客観化を批評しています。彼女の写真は、主流メディアが示す美の基準に対して、不完全さや傷跡、加齢といったものを称えます。このような親密さを提示することで、石内は見る者に女性らしさや女性性についての自身の認識と向き合うよう促します。
<ひろしま>や<Mother’s>のような作品を通して、彼女は日本の戦時中の過去と、それが個人の人生に与えた影響、特に歴史的な物語の中で見過ごされがちだった女性たちと向き合います。石内はその芸術活動において、女性の自律と代表を提唱することで、女性のエンパワーメントの原則を体現しています。そして彼女は写真を通して、現代社会におけるジェンダー、文化、記憶についての対話を促し続けています。
2023年に、ケリングはKYOTOGRAPHIEとのパートナーシップのもと、石内都と頭山ゆう紀による二人展「透視する窓辺」を支援しました。
2024年「ウーマン・イン・モーション」ラボ: I’M SO HAPPY YOU ARE HERE, JAPANESE WOMEN PHOTOGRAPHERS FROM THE 1950S TO NOW
第3回目となる今回の「ウーマン・イン・モーション」ラボでは、日本の女性写真家の貢献に焦点を当てます。レスリー・A・マーティン、竹内万里子、ポーリーヌ・ヴェルマーレのキュレーションによるフランス初のグループ展がアルルのアルシュヴェシェ宮殿で開催されるほか、レスリー・A・マーティンとポーリーヌ・ヴェルマーレによる日本人女性写真家の歴史に関する初の出版物『I'm So Happy You Are Here, Japanese Women Photographers from the 1950s to Now』(英語版はAperture社、フランス語版はTextuel社より刊行)が刊行されます。
「ウーマン・イン・モーション」ラボが支援した初回のプロジェクトは、2019年から2021年まで実施され、参考文献である『A world history of women photographers』の出版につながった研究に資金を提供し、その英語版刊行もサポートしました。2021年から実施された第2回「ウーマン・イン・モーション」ラボのプログラムでは、ケリングとアルル国際写真フェスティバルがアーティストのYto Barradaによるベッティーナ・グロスマンのアーカイブの研究を支援し、その結果、同名の書籍『ベッティーナ』が出版され、2022年7月にフェスティバルの一環として彼女の作品展が開催されました。
ケリングがKYOTOGRAPHIEによる「Transcendence」展を支援
KYOTOGRAPHIEによる本展は、細倉真弓、岩根愛、鈴木麻弓、殿村任香、吉田多麻希の現代の女性写真家による一種のコーラスであり、日本社会の複雑さを垣間見ることができます。親密なポートレートから心揺さぶる風景写真までのさまざまな物語の結集は、生き残りや自己表現のために積極的に写真というメディアを用いて現実を超越し、独自の物語を切り開く女性たちの回復力、創造性、多様性を照らし出します。
石内都について
群馬県桐生市生まれ。神奈川県横須賀市で育つ。1979年に〈Apartment〉で第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。2005年、母親の遺品を撮影した〈Mother’s〉で第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出される。2007年より現在まで続けられる被爆者の遺品を撮影した〈ひろしま〉も国際的に評価されている。2013年紫綬褒章受章。2014年には「写真界のノーベル賞」と呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞。近年の主な展覧会・出版物に、個展「Postwar Shadows」(J・ポール・ゲッティ美術館 ロサンゼルス 2015)、写真集『フリーダ 愛と痛み』(岩波書店 2016)、個展「肌理と写真」(横浜美術館 2017)、個展「石内 都」(Each Modern 台湾 2022)、個展「Ishiuchi Miyako」(Stills エディンバラ 2022)、「六本木クロッシング」(森美術館 東京 2022)などがある。作品は、東京国立近代美術館、東京都写真美術館、横浜美術館、ニューヨーク近代美術館、J・ポール・ゲティ美術館、テート・モダンなどに収蔵されている。
「ウーマン・イン・モーション」について
ケリングは、女性に対するコミットメントや取り組みを、グループの優先事項の中心の一つに据えています。クリエイティビティこそが変革を生み出す最も強い力の一つであるものの、依然として男女間の不平等が顕著である芸術や文化の世界に「ウーマン・イン・モーション」プログラムは取り組んでいます。
2015年、ケリングはカンヌ国際映画祭において、映画界の表舞台、そしてその裏側で活躍する女性たちに光を当てることを目的とし、「ウーマン・イン・モーション」を発足しました。以来、このプログラムは写真を始め、アート、デザイン、音楽、ダンスの分野にも活動の幅を広げています。「ウーマン・イン・モーション」アワードは、各分野で活躍する、インスピレーションを与えた人物や新たな女性の才能を表彰しています。また、トークイベントやポッドキャストでは、著名人がそれぞれの職業における女性の立場について意見を交換する機会を提供しています。
発足以来、「ウーマン・イン・モーション」は文化・芸術分野における女性の地位と評価について、考え方を変え、考察するためのプラットフォームとして選ばれてきました。
アルル国際写真フェスティバルについて
アルル国際写真フェスティバルは1970年から毎年夏にフランス・アルル市で開催され、市内の様々な名所旧跡で開かれる展覧会を通じて、世界各地の写真文化遺産の支援に貢献するとともに、多面的な環境を通じて現代の創作活動を促しています。アーティストにとって真の文化的インキュベーターとして、アルル国際写真フェス
ティバルは毎年、写真創作の中心地となっています。同フェスティバルは毎年、200人以上のアーティストやキュレーターの作品を集め、特別にデザインされたセットを備える会場で35の展覧会を開き、作品を展示し、様々な領域が交わる場として、芸術の考察や実践を推進しています。また、高い見識を備えた一般の観客に向けて、トレンドを明らかにし、新しい道を切り開き、変化するイメージの在り様を探り、問いかけると同時に、世界の社会的・地理的多様性を反映したコンテンツを生み出しています。第55回アルル国際写真フェスティバルは、2024年7月1日から9月29日まで開催されます。
ケリングについて
ケリングは、ファッション、レザーグッズ、ジュエリー製品を扱うメゾンおよびケリング アイウエア、ケリング ボーテを擁するグローバル・ラグジュアリー・グループです。傘下のブランドは、グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、ブリオーニ、ブシュロン、ポメラート、ドド、キーリン、ジノリ1735。戦略の中心にクリエイティビティ(創造性)を掲げるケリングは、サステナブルで責任のある方法により未来のラグジュアリーを築きながら、各ブランドがそれぞれの創造性を自由に表現することを可能にしています。このような信念が「イマジネーションをその先へ」(“Empowering Imagination”)というケリングのシグネチャーに込められています。