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最終更新時刻:17時11分

ウルトラファインバブル(UFB)の長期安定化配合を初めて実現

2024/10/10  株式会社 ポーラ・オルビスホールディングス 

ポーラ化成工業、世界的に権威ある化粧品技術者学会にて発表  超微細気泡で肌に残らず刺激性なし 世界初の洗浄用化粧品技術




ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)は、2024年10月14日~17日にブラジル・イグアスで開催される第34回国際化粧品技術者会連盟(以下 IFSCC)世界大会のポスター発表部門において、超微細な泡「ウルトラファインバブル(UFB)」を高濃度で化粧品に配合し、さらに泡を長期間維持することのできる新技術を発表します。
■発表論文
『刺激性の化学物質を皮膚に残さない、気体を活用した独自の洗浄技術 “ウルトラファインバブルは未来の乳化技術になりえるか?”』
英文名: A unique gaseous solution for cleansing leaves no trace of irritating chemicals on the skinCan Ultra-Fine-Bubble serve as a new means of cosmetic emulsification?

発表者: 小林 一貴1、増田 孝明1、大久保 堅三郎1、秦野 衛1、早崎 拓登1、寺坂 宏一2、仁王 厚志1     
1 ポーラ化成工業(株) フロンティアリサーチセンター 2 慶應義塾大学  (*下線が当日発表者)
■発表内容概要
 洗顔料に含まれる洗浄成分は肌上にわずかに残り、敏感肌の方などには不快な刺激の原因となることがあります。
 そこでポーラ化成工業では、刺激性のない究極の洗浄成分として「空気」に着目。空気であれば、自然に消失し肌上に残らないため、刺激を引き起こす心配はいりません。特に、「ウルトラファインバブル(UFB)」にフォーカスし、世界初のUFB化粧品(※1)の実現を目指しました(図1)。

 UFBとは、髪の毛の1/700程度(直径約100nm)の超微細な泡を液体中に分散させたもので、少しずつ産業利用が始まっています。本研究では、UFBを化粧品中に配合するために必要な基礎技術の確立と、UFB化粧品の機能性の確認に成功しました。

検討1. 化粧品原料を用いることで、UFBの安定性を向上させる技術を確立
検討2. 優しい力で洗浄力を発揮する、安定かつ高濃度のUFB製剤を開発
検討3. 肌に対するUFBの無刺激性および浸透促進効果を実証


 本研究により、化粧品に配合した高濃度UFBは油を水中に分散する能力に優れていることも示唆されました。このメカニズムとして、UFBの空気が油を包み込んでいると考えられます。この性質をうまく活用すれば、空気による乳化、いわば「気相乳化」が可能になると期待できます。「乳化」は化粧品に欠かすことのできない技術であり、ポーラ化成工業では「気相乳化」を従来の乳化と双璧をなす次世代の乳化方法として確立していきたいと考えています。

 ポーラ化成工業では今後、UFBおよび気相乳化の導入によりさまざまなニーズに応え、より多くの方が化粧品をを楽しむことができる世界を目指します。  

※1 ファインバブル産業会(FBIA)による認証を獲得した製品

【補足資料1】 検討1.~3.で分かったこと・実現したこと
検討1. 化粧品原料を用いることで、UFBの安定性を向上させる技術を確立
-UFBの安定性を決める要因を解明-
 UFBの安定性に影響する要因を調べた結果、溶液の「表面張力」と「pH」が強く影響していることが判明しました。化粧品の原料を駆使してこれらをうまくコントロールすることで、UFBを化粧品に安定的に配合する土台を整えました。

検討2. 優しい力で洗浄力を発揮する、安定かつ高濃度のUFB製剤を開発
-従来の界面活性剤の洗浄効果と同等以上の洗浄効果と長期利用の実現 -
 次に、1.の技術を活用してUFBを高濃度で配合した製剤の開発を行いました(図2)。





 これを化粧品製剤に活用した結果、UFB無配合の製剤と比較して高い洗浄力を発揮する(図3)ことが分かり、さらに従来の界面活性剤と同等以上の十分な洗浄効果を1年以上も維持できることが分かりました。このことから、UFBを活用した新たな洗浄用化粧品の剤型技術を確立できたと言えます。



検討3. 肌に対するUFBの浸透促進効果および無刺激性を実証
-皮膚にダメージなく成分を浸透させる、特異的なUFBの浸透促進効果-
 UFBが肌へ及ぼすさらなる効果を探索するために、培養皮膚モデルを用いて角層への成分浸透促進作用を調べました。その結果、皮膚モデルを長時間UFBにさらしても、組織に損傷は見られず、これまでの浸透促進剤と遜色ない効果を発揮することが判明しました(図4)。




 
 さらに、ヒトでのパッチテストでもUFBによる刺激性はないことを確認し、UFBが浸透促進効果を発揮するために必要な濃度や溶液の条件も確立できました。


【補足資料2】 IFSCCについて
IFSCC世界大会は、世界中の化粧品技術者・研究者にとって最も権威のある学会で、最先端の化粧品技術が披露されます。応募論文はIFSCCの厳正な審査を受け、選ばれたものだけに発表が許されます。

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